自家製アップルソース
世界中の人々に好まれ、楽しまれる果物りんご。アメリカでは
“As American as apple pie (アップルパイのようにアメリカ的)” や、 “An apple a day keeps your doctor away(りんごを毎日一個食べていれば医者はいらない)” などの表現もよく耳にします。
日本でりんごが栽培されるようになったのは、明治4年に黒田清隆がアメリカからりんごの苗を持ち帰ったのがきっかけだったそうで、お茶の間に普及するようになったのは欧米に比べると遅かったかもしれませんが、次第に品種が増え、青森りんご大図鑑というウェブサイトの冒頭には、美しいりんごが何と73種も大集合しています。
日本で頂く蜜入りのりんごは、食後に皮をむいてそのまま食べるだけで充分デザートとして楽しめますが、アメリカに来てからは、りんごというとパイやケーキの材料として使うことが多くなっていました。また、エキゾチックな果物が世界中から輸入され手軽に手に入るような環境にいる昨今は、りんごは私にとっていつの間にか果物のスターではなくなっていたかもしれません。
そんな私にりんごの有難味を再認識させてくれたのが、今日ご紹介する自家製アップルソースです。ごく最近、親しい友人の自家製アップルソースをご馳走になって感激したのです。「自家製のアップルソースを一度食べたら、スーパーのものは買えなくなるわよ」と聞いても、正直半信半疑だったのですが、自家製のものを口にした瞬間、そのおいしさにびっくりしてしまいました。アップルソースに変身したりんごは、甘みが一層深まり、乳幼児からお年寄りまで気軽に楽しめる、まさに万能なデザートになります。材料も最低限ですし、手間もかからないので、レシピと呼ぶには簡単すぎるほどなのですが、本当においしいので、是非ご紹介させてください。
準備するものは、りんご、レモン、シナモン、水の4つのみです。私はこれらをインスタント・ポットという圧力鍋に入れてアップルソースを作っています。インスタント・ポットや圧力鍋を使わずに普通のお鍋でも簡単に出来るようです。いろいろなりんごの種類を試したり、水とレモン汁の量を少々変えてみたりしても、常に甘く美味しいアップルソースが出来上がるので、失敗することの方がむずかしいという点で稀なレシピです。
自家製アップルソース
材料:
- りんご 8~10個 (約2~3パウンド、または1~1.5kg)
- シナモンスティック 約10cm(粉状のシナモンで代用可、ただし、出来あがりの色が茶っぽくなります)
- レモン一個から出るレモン汁
- 水 1/4 ~1/3 カップ (約60~80ml)
作り方:
- りんごは皮をむき、サイコロ状に切る。
- レモンを半分に切り、レモン汁を絞る。その際、種は取り除く。
- サイコロ状にしたりんご、シナモンスティック、レモン汁、水を鍋に入れる。
- インスタント・ポットを使用して、圧力鍋機能で15分煮る。
- 煮終わって空気がリリースされたら、数分置き、その後りんごを好みに応じてかき混ぜる。
私が好んで使うりんごは、GALAという品種です。行きつけのスーパーには、いろいろな品種のりんごが10~12個入ったファミリーパックがあり、GALAはその中でも一番安く(良い時は3ドル以下)購入出来るというのが、私が選択する理由の一つでもありますが、食感と甘みも抜群で、とても口に合います。私がデザート用にもそのままおやつにかじる時も良く食べてきた品種はFUJIなのですが、「アップルソースにはあまり向かないかも」と友人に言われて最初は躊躇しました。でも作ってみると、私にはGALAと同じくらい美味しく感じました。
最近、私と同じくらい自家製アップルソースに夢中になっている夫が、Costco(コストコ)にはGALAがなかったからと言って、ENVYという種類のりんごをどっさり買って帰ってきました。初めて聞く種類のりんごでしたが、そのまま食べてみたらなかなか美味しかったので、これもアップルソースにしてみました。出来上がった直後は、GALAのまろやかさに欠けていて甘みもイマイチだったので、失敗作かなと思いましたが、次の日にはがぜん甘みが増して、申し分なく楽しめました。ただENVYのアップルソースは色が冴えず、見た目で随分劣ります。
材料が手頃で手間暇かからず出来てしまう健康的な食べ物ということで、アップルソースは最近すっかり我が家の定番になりました。私はそのまま頂くのが一番好きですが、夫が好んでするように、プレーン・ヨーグルトと一緒に食べたりしてもおいしいです。ENVYのアップルソースのように色の冴えないものは不向きかもしれませんが、きれいな色に出来上がったアップルソースを空き瓶に入れてリボンをかければ、およばれした時の手土産にもなります。
秋はりんごが大活躍の季節です。是非、自家製アップルソースを試してみてください。
国立音楽大学および大学院修了。フリーランス司法通訳・翻訳者。ニューヨーク、パリ、東京を経て、1997年より首都ワシントン郊外に在住。夫と息子三人の五人家族。








