フィリピンの「お袋の味」
「いらっしゃい!さぁ、食べて食べて!」
フィリピン人の家に招待されると必ずこのような言葉をかけられます。フィリピン文化では食べ物を共有することを重んじ、ホリデーシーズンのパーティーはもちろんのこと、普段でも、いつ誰が来ても、皆がお腹いっぱい食べられるように料理は多めに作る習慣があります。1960年代後半に他の多くのフィリピン人と共にアメリカに移住して来た夫の両親は、生まれ育った故郷を離れてもそういったフィリピン人の心を大事にし続けており、その寛大さには常に学ばされます。
今回は、フィリピン料理の中でも定番で、外国人にも人気が高いルンピア(2種類)とパンシットをご紹介します。各家庭によって使う具材や味付けは多少変わりますが、このレシピはDC近郊で育った夫の知る「お袋の味」です。
ルンピア
これは、フィリピン料理を代表する春巻き料理です。我が家では「Gold Bars」とも呼ばれるくらい、義母のルンピアは大人気。ルンピアの特徴はなんと言っても極薄クレープのような皮でしょうか。皮のメーカーはSimexというブランドがおすすめです。皮一枚ごとにシートが挟まれているタイプの青い箱と、赤箱の、何枚もの皮がすべて一緒についたままのオリジナルタイプがあります。義母はいつもオリジナルの赤箱を使っており、まず皮を、一旦全部丁寧に剥がしておくという下準備をします。義母がルンピアを巻いている間に、同時進行で義父が皮を剥がすという微笑ましい光景をみることもあります。私は、時短を狙って一度青い方を使ってみましたが、皮がやや乾燥して巻く時に破れることがあったので、少し手間はかかっても、やはりオリジナルの赤い方がおすすめです。
ルンピアには2種類ありますが、、まずは野菜もたっぷり入った定番のものからご紹介します。我が家は子供のアレルギーのためいれませんが、義母はエビも具にいれているようです。このルンピアと次にご紹介するパンシットも同様に、エビを入れても美味しいです。
材料
- ルンピアの皮 1箱 (SIMEXブランドの赤箱。青箱もあります)
- 豚ひき肉 1ポンド(500グラム弱)
- 玉ねぎ 1個
- にんにく 5片
- 人参 千切り1.5カップ
- インゲン 斜め切り1.5カップ
- クワイ 1缶 (8oz、約230グラム)
- コーン (缶詰または冷凍) 1カップ
調味料A
- 醤油 1/4カップ
- オイスターソース 1/8カップ
- 鶏がらスープ 1/2カップ
- 塩・こしょう 適量
- 水又は水溶き片栗粉 適量
- 油
調味料B
- リンゴ酢 大さじ3
- 塩・こしょう 適量
- にんにく(市販のフライドガーリック又はガーリックパウダーでも可) 小さじ1/4
作り方
- 玉ねぎとニンニクはみじん切り、人参、インゲン、クワイは細切りにする。
- フライパンに油を敷き、ニンニクと玉ねぎを2〜3分炒め、豚肉を加える。
- 豚肉に火が通ったら、人参、インゲンの順に加え軽く炒め、クワイとコーンも加えよく炒める。
- Aの調味料を加え、汁気が減るまで中火で煮る。必要であれば、分量外の醤油とオイスターソースで味を整える。
- 具をザルにあげ、汁と分けて冷ます。※汁は後のレシピのパンシットに使えるので、捨てずに容器に入れておく。すぐに使わない場合は、冷蔵または冷凍保存可。
- ルンピアの皮と、ノリ用の水又は水溶き片栗粉を用意する。
- 皮を広げ、下1/3くらいの所に具を大さじ1.5から2ほどのせ、しっかりと空気を抜くように巻く。上半分の皮の端にノリを付け、巻き終わったら皮をしっかりとめる。
- たっぷりの油で揚げる。※焦げやすいので、弱目の中火で、きつね色になるまでじっくりと揚げる。
- Bの材料を合わせ、タレを作る。
ルンピア・シャンハイ
こちらはほぼお肉だけの春巻き。野菜嫌いな我が家の子供たちはこちらの方がお気に入りで、あっという間になくなります。
材料
- ルンピアの皮 1箱
- 豚ひき肉 1ポンド (500 グラム弱)
- クワイ 1缶(8oz、約230グラム)
- 人参 2~3本
調味料A
- 醤油 1/4カップ
- ガーリックパウダー 大さじ1.5
- 塩・こしょう 適量
- 水又は水溶き片栗粉 適量
- 油 適量
作り方
- 人参はグレーターでおろし、クワイはみじん切りにする。(フードプロセッサーにかけても可)
- ボウルに野菜と豚肉、Aの調味料を加えてよく混ぜ、最後に片栗粉をまぶしてさらに混ぜる。
- 皮を広げ、下1/3くらいのところに、具を幅1センチ程の細い棒状にのせて巻く。(肉の量が多すぎると火が通りにくくなります。)
- 一本のルンピアを三等分に切り、油で揚げる。
- スイートチリソース又は上のレシピの酢のタレを添える。
パンシット
パンシットは、焼きそばのような炒め麺です。こちらも麺の種類や味付けによっていくつか種類がありますが、義母がよく作るのはビーフンと中華麺の二種の麺を混ぜたものです。義母のパンシットの美味しさの秘訣は、最初にご紹介したルンピアを作る時に出る具の汁を使うことです。本場フィリピンではカラマンシー(別名フィリピンレモン)を絞って食べるようですが、DC近郊に住む我が家ではレモンで代用しています。
材料
- ビーフン麺
- パンシット・カントン麺(中華麺)
- 鶏肉 1ポンド (500グラム弱)
- にんにく みじん切り大さじ1/2
- 鶏ガラスープ 3〜4カップ
- 玉ねぎ 小1個
- インゲン 斜め切り 1カップ
- 人参 1〜2本
- ルンピア具の残り汁
- オイスターソース 大さじ3
- 醤油 大さじ3
- 塩・こしょう 適量
- レモン 1個
作り方
- 鶏肉は細切り、にんにくはみじん切り、玉ねぎは薄切り、インゲンと人参は斜め切りにする。
- フライパンに油を敷き、にんにくと玉ねぎを炒める。
- 2に鶏肉を加え軽く炒める。
- 鶏ガラスープを加え煮たったら弱火〜中火で10〜15分煮る。
- 4に野菜を加え、2〜3分煮る。
- 鍋に汁を残し、肉と野菜をボウルに入れる。
- 汁の入った鍋に、ビーフンと中華麺を入れ、汁がほぼ無くなるまで煮る。
- 鍋に肉と野菜を戻し、ルンピアの残り汁とオイスターソース、醤油を加え、塩・こしょうで味を整える。
- 食べる前にレモンをかける。
コネチカット州の大学卒業後、DCの日系メディアに就職。現在はバージニア州で3人の子供を育てながら、メディアの仕事や趣味のダンスに励んでいる。