一味違うタイ旅行
仕事で2018年から2021年までの3年間、バンコクに駐在していました。ひと月の半分は出張でいない日々、アジアに来たら行こうと楽しみにしていた近隣諸国への旅行も全くしないままパンデミックに突入。しかし幸運なことに2020年後半はタイの厳しい対応が功を奏して、国内は普段通りに戻りつつあったので、それまで出張で忙しくて全くできなかったタイ国内旅行を楽しむことができました。
よく知られた場所の話では目新しさがなくてつまらないかもしれないので、ここでは外国人観光客にとってはマイナーな観光地に行った時の話をします。タイで山といったらチェンマイくらいしか知りませんでしたが、「タイの軽井沢」、「タイのスイス」と呼ばれる場所があります。
タイのスイス、カオコー
まずは「タイのスイス」と呼ばれるカオコーから。さすがスイス、タイに来て3年目にして初めて皮ジャケットやコートを着る機会に恵まれました。地形も山に囲まれているので、確かにタイとは思えない雰囲気です。日の出がとてもきれいで、残念ながら私は見られませんでしたが、運が良いと雲海が見られるそうです。泊まったホテルはヨーロッパ風のガーデンがありとてもきれいで、インスタ大好きタイ人にとってもPhotogenicな場所が満載です。
なかでも強烈な個性を放っていたのがWat Pha Sorn Kaew。比較的最近できた寺院で、五体の真っ白な仏像が重なって鎮座している隣に、ガウディ風モザイクで彩られた建物があり、なんだかディズニーランドにいるような気分になる場所でした。タイ人が何か作る時は、建築にしろモールにしろ国土が広いからかとにかくスケールが大きい。
ちょうどこの週末は元国王の誕生日の連休で、寺院はタイ人観光客で溢れかえっており、一度目の訪問では混雑がひどくてたどり着けず、二度目に朝早めに行って漸く入れたのでした。コロナで国境も閉じていたので外国人は私たちくらいしか見あたらないのにこの人出。どうやらタイ人には大人気らしいです。しかもこの溢れかえる人ごみの中での体温チェック。コロナにかかるとしたらむしろここではなかろうかと冷や冷やしつつも他に選択肢はないので、えいやと飛び込んできましたが、駐車スペースを見つけてから後から到着した友人は、体温チェックを済ませた証明であるピンクのシールを観光客が使用後に壁に貼り付けてるのを見て、それを拾ってつけて涼しい顔で入ってきていました。。。あんなコロナリスクの高い場所行くわけないじゃないと。。。旅を一緒にするとそれぞれの性格の違いも顕著に出ておもしろいですね(笑)。
タイの軽井沢
さてお次はタイの軽井沢、カオヤイ。こちらはバンコクから2時間と近いので週末のGetawayとして地元の人に人気です。ワイナリーがあったりもするのですが、そこはタイワイン、おいしいものは少ないです。試飲をした中で結構いけるものはあったのですがかなり強気のお値段で、これを買うならヨーロッパのものにしたいかなーという感じでした。話の種にはいいですが。
こちらのハイライトはカオヤイ国立公園でした。友人の誕生日企画でガイドさんを雇ってハイキングをしたのですが、Gibbon(テナガザル)やGreat Hornbill(オオサイチョウ)を見ることができました。でもこういうワイルドライフウォッチング、私はあそこにいると言われてもどこだかわからずやきもきした思い出が多いのですが、ガイドさんが素晴らしい文明の利器を持っていたため、今回はすべて余すことなく見ることができました。望遠鏡なのですが、三脚で立ててのぞき込む形のもので自分で探す必要がない。更に優秀なのはそのレンズから直接写真や動画を撮ることができるのです!彼女のお陰でハイキングを満喫することができました。オオサイチョウは肉眼でも簡単に見つけられるほどの大きな鳥でした。赤ちゃんといわれるものでもかなり巨大。ガイドさんによるとオオサイチョウはSymbol of loveなのだそう。メスが卵を産むとヒナにかえって子供が動けるようになるまで巣(穴)から動かなくなる。オスは奥さんと子どものために遠くへでも餌をとりに行き届け続けるらしいです。
ガイドの彼女は本当に動物が好きで、コロナでずっと仕事がなかった後、初のお客ということで張り切る姿がとてもかわいらしかったです。コロナの影響で観光客が激減して古くなったハイキングシューズを新調できないと言っていたので、我々のチップが少しでも新しいシューズ購入に貢献できて今頃は買えているといいのだけれど。
寄り道シリーズ
友人の旦那さんが運転好きだったので、すべての旅行は車で行きました。車で行くと寄り道ができるのが楽しいところで、カオコー(バンコクから車で5~6時間)の時は、帰りに寄った焼き鳥の店が最高に美味しかった!やはりタイ料理は、屋台でシンプルなものに限ると思います。その日は朝私が外せないコンファレンスコールがあり(こちらは休日でもバングラデシュは日曜はWorking dayなので)、一方他の友人たちは6時半から仕事の電話ありで、かなりタイトな時間で移動して、昼食は車の中で何かつまむくらいだと思っていたのですが、昼食は外せない旦那さんのためNew Bua Tongでガイヤーン(焼き鳥)を食べることに。この辺りは道路脇のあちこちに焼き鳥がぶら下がって売られており、どうやら焼き鳥が名物らしい。New Bua Tongは屋外スペースに屋根があるだけの場所だけれど、焼き鳥は美味でした。バンコクから3-4時間かかるので、これを食べるためにわざわざ出かけないけれど、旅行の帰りにこういうところが発見できるのはうれしい。現地の人にも大人気で着いたら並んでいたのでやや心配したけれど、そこは人気店、待っている間に注文、席に着いたらすぐ食べ物が運ばれてきて、オペレーションが完璧でした。
そしてカオヤイに来た時の寄り道はDairy Home。タイは牛乳があまり美味しいのがないのですが、ここのはとても美味しい。Farmがあるここではオーガニックの牛乳以外にも、バター(サプライに限りがあるのでいつもはない)やアイスクリームなどが買えます。アイスクリームはかわいい陶器の入れ物に入ってきて、食べ終わったら持って帰っていいという環境にも優しいシステム。種類もたくさんあって、集めたくなります。
様々な魅力を持つタイ
アメリカに戻ってきてタイが遠くなってしまいましたが、機会があったらまた行って、まだ見ぬタイを訪れたいと思っています。コロナで観光業が大打撃を受けていますが、一方でビーチの浄化ができて亀などが戻ってきたというニュースを見たり、量よりも質を重視した観光へと転換しようという動きも見られます。ポテンシャルは高いのでこれからも新たな魅力を見せてほしいなと思っています。
世界銀行上級環境専門官。2008年からワシントン在住、2018-2021年にバングラデシュの案件を担当するためにバンコク事務所駐在。現在はDCに戻り中東北アフリカ地域局で引き続き環境案件を担当。