スペイン、冬の豆料理

スペインの冬のお料理と言えば豆の煮込み。チョリソや生ハムの骨、たっぷりのお肉で出汁をとったスープで煮込んだお豆を食べると体がぽかぽかになります。レンズ豆をはじめ、ひよこ豆、白インゲン豆、赤インゲン豆にソラマメ。いろいろな大きさのものがあり、地方によって名前が違う場合もあったりとバラエティーにとんでいます。それらを主に豚肉と一緒に調理します。

スペインの食生活にかかせない腸詰め

スペインと言えば、生ハムが頭に浮かぶ人も多いと思います。バルのカウンターの天井に生ハムがぶら下がっている光景はもっともスペインらしいと言っても過言ではありません。バルで生ハムの塊を長いナイフで薄切りにしてもらい、その切りたてのハムをワインと一緒に食べるのは最高です。スペイン人にとって、チョリソやソーセージなどの腸詰、生ハムは日々の食卓にかかせません。

伝統行事としての豚の屠殺

スペインの伝統行事のひとつに豚の屠殺 (豚の解体)があります。以前は各家庭で行われていましたが、今では数か所の村の祭りで行われるくらいになってしまいました。昔は冬の食料確保のため、近所の人や親族が集まり豚を屠殺し、保存していました。この儀式は、参加者が共に労働し、その後の食事や祝宴を通じてコミュニティの絆を深めるという役割もしていたそうです。

豚肉と豆料理

スペインの市場に行くと、豚の頭がそのまま売られていたり、鼻、耳、そして皮などの部位もお肉屋のショーウインドーに並べられ、料理されるのを待っています。血もモルシージャと呼ばれるソーセージを作るのに使うため、捨てるところがないのが豚です。足は生ハムに、他部位のお肉はチョリソ(chorizo)やモルシージャ(morcilla)と呼ばれる腸詰や各地方ごとに異なる調理方法の腸詰に姿を変えます。

血の入ったソーセージというと馴染みのない日本人には警戒されます。私もスペインに住み始めた当時はこの血のソーセージ、モルシージャを敬遠していました。でもお米入りのとても美味しいものをいただいてから大好きになりました。

私が好きな豆の煮込みにアストゥリアス地方の「ファバーダ」というお料理がありますが、これは「ファベス」と呼ばれる白インゲン豆に チョリソ、モルシージャなどをいれて煮込んだお料理です。ここでもモルシージャは味付けのポイントになる重要な役割をはたしています。

カナダでも作れるスペインの豆料理

昨年の9月からスペインのマドリッドからカナダのトロントに引っ越しをし、スペイン食材の少なさに、今まで自宅で作っていた夕食のレパートリーの一新を強いられました。スペインでは豊富だった魚介が手軽に手に入らない。当然スペインの生ハムや腸詰なども貴重品です。そんな中、チョリソは近くのスーパーでも手に入り、トロントの寒い冬に備え、レンズ豆とチョリソの煮込みは何度も作りました。今日は北米でも比較的手に入りやすいチョリソとレンズ豆の煮込みをご紹介します。

Lentejas con Chorizo レンズ豆とチョリソの煮込み

Lentejas con Chorizo レンズ豆とチョリソの煮込み

Lentejas con Chorizo レンズ豆とチョリソの煮込み

材料
  • 乾燥レンズ豆 2カップ ※茶色タイプ
  • スペインチョリソ 200gから300g ※辛くないタイプ
  • 玉ねぎ 中2個 (約250g)
  • にんじん 中2本 (約200g)
  • じゃがいも 2個 (約350g)
  • にんにく 8片
  • ローリエ 2枚
  • パプリカパウダー 小さじ1
  • 水 約1L (材料がすべて隠れるくらい)
  • エキストラバージンオリーブオイル ※普通のオリーブオイルでもよい
この料理ではChorizo dulce を使用。スペインのチョリソにはdulce(甘口)と picante(辛口)がある

この料理ではChorizo dulce を使用。スペインのチョリソにはdulce(甘口)と picante(辛口)がある

作り方
  1. 玉ねぎ、にんじん、じゃがいも、にんにくの皮をむく。玉ねぎは丸ごとか大きければ、半分に切る。にんじんは一口大より少し大きめに切る。ジャガイモを大きめに切る。チョリソは、1cmくらいの輪切りに切る。
  2. 鍋に大さじ2のオイルをいれて、じゃがいもをのぞいた野菜すべてを入れて、少し炒める。
  3. 鍋にオイルをいれて、野菜を炒める

    鍋にオイルをいれて、野菜を炒める

  4. パプリカパウダーを加えて、軽く炒める。
  5. 他の材料をすべて加えて、45分から1時間、豆が柔らかくなるまで煮込む。(圧力鍋を使うと短時間でできます)
  6. 豆が柔らかくなるまで煮込む

    豆が柔らかくなるまで煮込む

  7. 鍋からじゃがいもをのぞく野菜を取り出して、ハンドミキサーでピューレ状にする。
  8. 鍋から野菜を取り出して、ハンドミキサーでピューレ状にする

    鍋から野菜を取り出して、ハンドミキサーでピューレ状にする

  9. 野菜のピューレを鍋に戻しよく混ぜ合わせて、塩で味を整えて出来上がり。

新しい食材との出会い

料理研究家として13年料理教室を主催する中で、3、4年ごとに転勤で拠点をかえることは新しい食材や料理に出会えるということでプラスになりました。

今回もトロントにきて、たくさんの新しい食材に出会いました。今まで見たことのない種類のカボチャだったり、ハーブ類や中東やインドのスパイス。いろいろ試作して美味しく出来上がった時のうれしさ。新しい味に出会った時は思わず頬がゆるみます。

美味しいものを多くの方に知ってもらいたい。お料理好きの方、そして、毎日の夕食の準備で悩んでいる方と繋がり、美味しいものを共有できればと思い、オンラインサロン Fumi Cocina を開催しています。これから寒さが増すトロント、おうちにいながら料理を通してたくさんの方と繋がりたいですね。


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