「僕のアメリカ物語-青春と仕事の熱き半生奮闘記」

著者:神谷勇夫(かみたにいさお) 発行:株式会社サノックス(アマゾンにて購入可能)

著者:神谷勇夫(かみたにいさお)
発行所:株式会社サノックス(アマゾンにて購入可能)

はじめに

私は著者神谷さんの元で、1993年から2003年まで一緒に働いていました。いつも誠意を持って真摯に仕事をされる神谷さんの背中を見ながら、多くのことを学び、私もこのように仕事に向き合いたいと思うようになりました。私が社に残り、神谷さんが退職された後も元ボスとの交流は続きました。
本書に描かれているビール会社やゴルフクラブ製造販売会社などの対日輸出を手掛けてきた神谷さんの名前は日本の多くの商社マンに知られていました。若手ビジネスマンから、「どのように多くのビジネスを生み出したのかを学びたいので、是非本を書いて欲しい」とのお願いメールがたくさん届いたと聞いています。草稿の段階から神谷さんより上梓のお話を伺い、それが立派な本の形になった時に、すぐに一冊いただき、一気に読みました。

神谷さんについて

本書でも触れられていますが、神谷さんは京都で生まれ育ち、大学生時代は東京で過ごしました。お父様が高名な日本画家であったので、神谷さん自身絵を描きます。大学卒業後、絵の道に行くか、あるいはビジネスマンになるかの岐路に立ち、逡巡後、商社マンになる道を選び住友商事に入社しました。しかし仕事で忙しい時でも、気分転換のため合間を縫って油絵や水彩画を描きました。また引退後も絵を描き続けました。本書内のイラストは神谷さんが描いたものです。

本社勤務、ヒューストン駐在を経験し、1979年にコロラド州のデンバーの地に降り立ち、事務所を開設しました。多くのビジネスを生み出す傍ら、地域貢献にも力を入れ、日本語補習学校や日本企業懇話会の設立にも尽力しました。コロラドと日本のビジネスや文化交流が現在も盛んに行われているのも、神谷さんの功績によります。

まごころを込めて

本書は商社マンの成功物語ではありません。自身の失敗談や、最初に結婚し後に離婚したアメリカ人女性のことも赤裸々に明かしています。しかし、神谷さんが読者に伝えたいことは随所に読んで取れます。それは、何事もまごころを込めて、そして誠意を持って人に接していけば必ず道は拓けることです。

アメリカ人とのビジネスはドライと思われているかもしれませんが、けっこう人情味あふれウェットな部分もあります。あなたがそうやって誠意を見せてこの仕事をやり遂げたいのはわかった、私も同じように誠意を持ってこの仕事を一緒にやっていこうではないか、という浪花節的な部分があります。神谷さんはそうやって誠心誠意こころを込めてアメリカのビジネスマンと接し、仕事を成し遂げました。その姿勢が、日本で爆発的な人気になったC社製ビールが品薄になった時にジャンボジェットでビールを空輸して、日本のビール愛好家の手元に無事届けたという結果を生み、また1985年当時は無名であったCallaway Golf Clubを世界的なブランドに押し上げることになったのです。

難題の克服

本書にはいろいろな難題に直面した時のエピソードが紹介されていますが、思わずよくやりました!と感心する話は、プロローグにある新入社員全員に課せられた「社内英会話検定試験」でしょう。通常、試験官がいろいろ質問をし、それに回答する。しかし神谷さんは、試験官を質問攻めにするべくたくさんの質問を用意し英語でそれを必死に練習し、試験当日流暢な英語で矢継ぎ早に質問をした結果、試験官が神谷さんに質問するチャンスはなくなってしまいました。かくて最高点を取り「特A」として認められ、難題を一つ解決したことになりました。しかし、それがヒューストン駐在時代に英語で苦労することになってしまいました。さてどうしよう、という難局を迎えた時にもやはりまごころをもって人と接し、見事難題を解決しています。

英語ができることがビジネスを成功させることではない

英語ができることに越したことはありませんが、神谷さんが伝えているのは「まごころが世界共通語」ということです。コミュニケーションをとる相手は人間です。こころを通わせてコミュニケーションをとることの大切さが本書で書かれています。誠心誠意人と接することがいかに大切かを感じとっていただけたらと思います。


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