イランのお正月「ノウルーズ」とお正月料理

お正月の飾り

お正月の飾り

イランの最も大切な祝日であるお正月は「ノウルーズ」(新しい日)と呼ばれ、3月21日(日本では春分の日)に新年と春の始まりを盛大にお祝いします。古代ペルシャの宗教であるゾロアスター教の伝統に基づく年末年始の儀式は3000年もの歴史があり、2016年にはユネスコの無形文化遺産に登録されました。年末から年始にかけて大掃除、挨拶回り、お年玉、お飾り、焚き火を飛び越えて無病息災を祈る火渡り神事に似た行事など、日本の儀式や習慣と類似しているものも多く親しみを感じます。お飾りはハフト・スィーン(7つのS)と言われるペルシャ語のアルファベットのSで始まる7つの縁起物を各家庭で飾ります。

  1. Sabzeh :豆や麦の発芽したもの(復活、成長)
  2. Samanu :小麦の新芽で作ったペースト(力、強さ)
  3. Seeb:りんご(美)
  4. Seer:にんにく(健康と薬)
  5. Serkeh:酢(忍耐。製造に時間がかかることから)
  6. Senjed:ナナカマドの実(愛)
  7. Somag:ハゼの実の粉末(日の出、希望)

加えてコーランや鏡、硬貨や伝統的なお菓子、ヒヤシンス、キャンドル(幸福・啓蒙)、カラフルな卵(繁栄)、金魚(命)なども供えます。写真は今年の我が家のハフト・スィーンです。金魚はペットショップから1匹数十セントで手に入れたものがすぐに息絶えてしまうのを見るのはいたたまれないので、置物を使いました。

大量の香草

大量の香草

イランの人々は毎年3月になるとお正月用の食材を求めてマーケットに足繁く通うようになります。お正月料理は香草入りのご飯、焼き魚、香草をたっぷり使った卵料理が一般的です。ご飯にはコリアンダーやパセリ、ディル、青ネギなど春の香りいっぱいの緑の香草を小さく刻んだものを大量にまぶし、サフランで彩りを加えます。お魚は一晩サフランとオイルに漬け込んでおきます。卵料理は香草を刻んだものに卵を混ぜ込んで焼きます。

イランの料理はペルシャ料理と呼ばれます。強烈なスパイスはほとんど皆無で、塩・胡椒の他はターメリック、サフラン、シナモンなど、あまりくせのないものばかりです。外食でのペルシャ料理はケバブなどの肉料理が主流ですが、家庭料理はたっぷりの野菜や豆類をお肉と煮込んだものが多く、風味もまろやかで、これまでペルシャ料理に馴染みが無く初めて召し上がる方にもとても気に入ってもらえます。

お米が主食でナッツやベリーを混ぜたものや季節の野菜の混ぜご飯など、ごはん料理の種類も大変豊富です。細長いバスマティライスを使いますが、日本の短粒米と違ってでんぷん質が少ないためさらさらとしており、いくらでもお腹に入ってしまいます。世界各国の料理に触れてきましたが、何千年も受け継がれてきたペルシャ料理は人間の叡智が詰まっており、味や栄養の面からも最高レベルの料理だと確信しています。

今年は主婦歴60年の義母(イラン人)が滞在中なので、本格的なお正月料理を体験できました。来客も多く、いつも以上に賑やかな「ノウルーズ」になりました。巷はコロナウィルスの影響で大変な状況になっていますが、この混乱の後に素晴らしい時代が到来し良い年になること祈念して・・。エイデ・ショマー・モバラク!! (新年あけましておめでとうございます!!)

以下は今回ご紹介した3品の4人分レシピです。

香草のご飯(サブズィ・ポロ)

材料:
バスマティライス 2カップ(アメリカのカップ。ジャスミンライスでも代用可)
数種類の香草 1束ずつ (ディル、パセリ、イタリアンパセリ、コリアンダー、青ネギなど)

  1. 米を軽く洗い、米がかぶるくらいの塩水に30分以上浸し、その後ざるで水を切っておく。
  2.  香草の太い茎は取り除き、それ以外を水洗いしたものをペーパータオルで乾かし、包丁で細かくみじん切りにする。数種類の香草を混ぜ合わせる。
  3.  水2L に塩小さじ1.5を加え沸騰したら2の米を加え、中火で10分弱茹でる。
  4.  芯が半分くらい残ったらざるに上げて水を切る。
  5.  熱した鍋の底に油を大さじ1入れ、4の米の3分の1を鍋の底に敷き詰める。
  6.  5の上に1の香草の3分の1を載せて表面をふわっと均す。
  7.  5と6の作業を繰り返しながら、米と香草を交互に層に重ねる。
  8.  鍋と蓋の間にペーパータオルを挟んで蓋をして強火10分、弱火30分。この間は蓋を開けない。

大皿に鍋ごとひっくり返して中身を全部出す。鍋底のおこげも美味。おこげは別に取り分け、オプションでご飯の上にサブラン汁をかけてサーブする。

香草のご飯

香草のご飯

サフラン風味の焼き魚

材料:

魚の切り身 サーモンやタラなど、お好みの魚4切れ

サフラン汁(サフラン小さじ半分を細かく挽いたものをお湯大さじ2で溶かしたもの。)

  1. 魚の切り身の水気をペーパータオルでを取る。
  2. 容器にサフラン汁、油大さじ1、塩少々を混ぜたものに1の魚を入れて全面を色付け、一晩寝かせる。(サフランと油は魚の臭みを取る効果が有り。)
  3. フライパンに多めの油を入れて表面に焼き色がつくように焼く。
サフラン風味の焼き魚

サフラン風味の焼き魚

香草の卵とじ

材料:

数種類の香草 1束ずつ (ディル、パセリ、イタリアンパセリ、コリアンダー、青ネギなど。)

卵 4個

ターメリック 小さじ1

  1. 香草のご飯と同様にみじん切りにした香草を混ぜ合わせる。
  2. 1に溶き卵を入れ、塩・胡椒少々、ターメリック小さじ1で味付けしてよく混ぜる。
  3. 熱したフライパンに油をひき、2を流し込んで焼く。途中ひっくり返して両面を焼く。
香草の卵とじ

香草の卵とじ

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