アラブ人から学んだ「強運を味方にする」6つの法則

2022年の世界幸福度ランキングで、アラブ首長国連邦(UAE)は24 位に入りました。私はUAEの7つの州の一つであるドバイに、2008年に移住して今年で15年目になりますが(コロナの間は、3年間スリランカをメインに生活していましたが)、この国の幸福度が高いことは、日常生活の中でも仕事を通しても、身に沁みるほど感じてきました。ドバイには富裕層が多く、富裕層の中でも資産が億ドル以上の大富豪と呼ばれる人たちがたくさん住んでいます。世界の富が集まっている豊かな国に間違いありませんが、実際、お金や物質だけではなく、アラブ・イスラム文化特有の精神性とホスピタリティーが、人々をより幸せに、豊かにしています。

ドバイモールから見たダウンタウン、新しい高層ビルがどんどん出来上がっていく

ドバイモールから見たダウンタウン、新しい高層ビルがどんどん出来上がっていく

精神的に豊かな人々が集まるドバイと、変化を積極的に受け入れるドバイ州政府だからこそ、パンデミックが起きた過去3年間は、素晴らしいリーダーたちの柔軟な対応によって、大きな打撃を受けずに発展し続けてきました。コロナの規制に関しては、マスク着用義務はとても厳しかったですが(高い罰金が課されてしまう)、ドバイ内の移動や海外からドバイに入国する際の規制はほかと比べると自由度が高かったため、観光客は2020年秋冬以降、増加しています。2021年10月から2022年3月までドバイ万博もあったため、世界中からひっきりなしにヒトやモノの移動が行われていて、経済的な打撃も少ないといえます。

私はパンデミックが起きる直前の2019年12月から2022年6月まで、拠点を一旦スリランカに移していましたが、たったの3年弱で、ドバイは大きく変わりました。これは、イギリスやアメリカから出張にきた友人たちも言っていましたが、ドバイの活気は他の国にはないものだとみなさん言います。ドバイはここ2年間は特に、移住者や投資家の受け入れも、コロナ前より幅広くなっているため、外国人にとっては選択肢が広がってより住みやすくなっていると感じています。さらには、ジュメイラをはじめ、古くからある住宅地をお洒落なショッピングストリートとマンション型住宅地に再建しているため、ドバイの街全体がより便利な未来都市にどんどん進化しています。世界から富裕層がドバイに集まってきている背景には、このような政府による受け入れ政策の緩和と、加速化している都市計画の二つの要因があります。

このような経済的な発展に繋がったのは、やはりアラブ人の豊かな精神性が根底にあるからだと日々感じています。これからの時代は、物質より精神が大切になると言われていますが、わたしがアラブ人から学んだ「強運を味方にする」法則を6つご紹介します。15年間ドバイに根付いて生活してきたなか、家族ぐるみのお付き合いや、3人の子どもたちの学校教育や、在ドバイ金融機関の勤務やビジネスを通して学んだことなど、ありのままのアラブ人とドバイについてお伝えします。

なお、ここから説明していく「アラブ人」には、UAE出身のアラブ人と、バーレーン、オマーン、レバノンなど湾岸周辺国からUAEに移住したアラブ人も入ります。

それでは、一緒に見ていきましょう。

1.お金は天下の回りもの

ドバイ=お金持ちだと連想する方が多いかと思いますが、実際そうだと思います。アラブ人はとても気前がよく、知り合って間もなくでも、信頼できると思ってくれると、自宅に招待しておもてなしをしてくれます。イスラム教徒の習慣では、人にご飯をご馳走するのはとても良いこととされているためです。

ドバイファイナンシャルセンター、世界の金融機関やコンサルファームなどが集結

ドバイファイナンシャルセンター、世界の金融機関やコンサルファームなどが集結

また、外食で割り勘をする男性には出会った記憶がありません。仕事でお世話になっている関係先や年上の方などとグループで外食する時、グループ内にアラブ人がいると、こっそりみんなの分を払ってくれたり、「お祝い」だと結びつけて豪快にご馳走してくれます。

また、社会貢献として慈善活動に関わっているアラブ人もたくさんいます。イスラム教の慣習として、収入の10%を恵まれていない人に回すよう寄付することと、その寄付のことをあまり言わないことが推奨されていて、この習慣は代々受け継がれています。特に、毎年断食のシーズン「ラマダン」の月に寄付すると、普段より何倍もの恩恵が戻ってくると経典コーランに書かれているため、競い合うかのようにモスクにお金を寄付したり、食べ物や生活必需品を恵まれない人たちに贈ったりします。

以前の会社でCSR活動をしていた時に現場で食事を配布した

以前の会社でCSR活動をしていた時に現場で食事を配布した

他には、知識や情報も立派な富として、知識人やビジネスパーソンが学校で講演したり、スキルをシェアするケースも多いです。

もう一つ私が驚いたことは、自宅の外にあるデーツ(なつめやし)の木がみんなのものとして扱われていること。つまり、デーツが熟したら、食べたい人は誰でも木からデーツを取って食べても良いのです。それ以外にも、自宅の外にお水のタンブラーやペットボトルの水が入った冷蔵庫を設置して、通りがかりの人がいつでも飲めるシステムも、ドバイの住宅地で時々見かけます。

アラブ・イスラム文化の「おもてなしの心」をいろいろな場面で感じ取ることができると思います。

2.「不可能」という概念はない

ドバイは2022年12月2日に建国51周年を迎えます。独立してからたった50年で大きく経済成長を遂げてきたのは、「不可能はない」というポジティブな信念体系が根底にあるからだと、私は感じています。ビジネスでもプライベートでも、アラブ人にお願い事や尋ね事をすると、必ずといって良いほど必要なことや情報を用意してくれます。少なくとも、最初から「難しいです」、「できません」とネガティブな返事はせず、「Inshallah (インシャラー) — 神様のご意志があれば」と前向きな返事をするのが掟。

神様のご意志があれば「何でもできる!」と良い結果を予祝する勢いで、こちらの心もホッと安心することが圧倒的に多いです。

学校、病院、お店やレストランなども、マニュアルや会社の指示通りに動くのではなく、臨機応変に対応を変えて動いてくれるケースがほとんどだと思います。融通が効くので結果が出るのも速いですし、3児の子育て真っ只中の私にとって、とても有難い環境でもあります。細かいことは気にしない、みんな前向きな姿勢で助け合っている、失敗はなく、あるのは最高の未来にたどり着くための材料。

不可能だと思うようなユニークな建築物も、次から次へと建てられています。

未来博物館

未来博物館

3. 気遣いゼロ、でも思いやりは100%

アラブ人は、思っていることや感じていることを隠さずに相手に伝えます。自分の要望や考え方も遠慮なく伝える傾向があります。興味がなければ相手にしないので、曖昧な態度を取ることは殆どありません。また、自分を上手に見せる方法もよく知っているので、特に大都会ドバイでは、男女ともに外見を綺麗に整えている人が多いです。

体のラインを隠すための伝統衣装「アバヤ」も年々よりカラフルにオシャレになっている。地元の富裕層がいくブティック

体のラインを隠すための伝統衣装「アバヤ」も年々よりカラフルにオシャレになっている。地元の富裕層がいくブティック

謙虚で控えめな日本人からみると、ストレートに物事を言うことは周りへの気遣いがないとか、協調性がない、アグレッシブでアピールしすぎている、と見られがちかもしれません。でも、実はこれは相手のことを思っているからこそできることで、根底にあるのは愛であり、相手の時間とエネルギーを無駄にしない思いやりと、相手を喜ばせる心でもあります。

4. お母さんの足元にパラダイス(天国)がある

母親はパラダイスより大事な存在、母親を大事にしたらパラダイスに行ける、という教えがコーランにあり、アラブ・イスラム文化は、母親の存在をとても大事にします。ある意味、お父さんより立場が上で尊敬されているかもしれません!(笑)。父親が亡くなったあと、子どもたちが母親の面倒を自宅でみるのは当たり前の文化です。お家に招待されて遊びにいくと、母親と同居している家族が多く、孫も含めて家族みんなでお年寄りを大事にしています。

5.「開運」の概念はない。常に運が良いと思っている

日本のように神社に行ったり、パワースポットに行ったりする「開運」の概念ではなく、すでに持っている幸運を人の嫉妬や雑念のエネルギーに吸い取られないように守る概念があります。例えば、赤ちゃんが生まれたときや、良いことが起きたり、綺麗ですねと褒めたりするとき、「MashAllah(マーシャラー)」と付け加えます。「神の願いが叶って素晴らしい」、「神の加護があっておめでとう」というニュアンス。「あなたに起きた良いことが、ずっと続きますよう、神のご加護をお願いします」という、人の幸運をさらに応援する祈りがこもったフレーズでもあります。

このように、日常のなかでアラブ人はいつも神様と繋がって生活しているので、すでに幸せ、すでに恵まれていると考えています。この幸運マインドが根底にあるため、ポジティブでセルフ・イメージも圧倒的に高いです。

ドバイの市役所 -- カスタマーハピネスセンターと呼んでいるだけあって、サービスが速くて親切

ドバイの市役所 — カスタマーハピネスセンターと呼んでいるだけあって、サービスが速くて親切

6. すべてを神様に委ねている

自分の望みや未来のことを決めるときに「Inshallah (インシャーラー) — 神のご意志があれば」を使うのと同じように、アラブの人たちは、結果に執着しません。とても柔軟に考えるわけですが、自分にとって必要な未来であれば、そうなるでしょうし、必要がなければ起きなくても良い。望んでいる答えを忘れ、一旦神様に委ねます。もちろん諦めているわけではなく、結果にこだわりすぎず、神様に任せた方が最高最善の結果に導かれるということをよくわかっています。プロセスを楽しむ余裕もあるので、結局最高の結果になっていきます。ポジティブな結果を引き寄せるのは、「神様に委ねる」精神。

毎年10月から3月末まで開放されるエンターテイメントパーク「グローバルビレッジ」、世界各国の雑貨や食べ物などが集結

毎年10月から3月末まで開放されるエンターテイメントパーク「グローバルビレッジ」、世界各国の雑貨や食べ物などが集結

このように、アラブ人は神様という自分より大きな存在を信頼して、いつも繋がって生活しています。UAE全体とドバイに幸せな人や、物質的にも精神的にも満たされた豊かな人が多いのは、これが一番大きなポイントだと思います。「神様と繋がれば、強運を味方にできる、もっと幸せになれる」と私は強く確信しています。

15年もの間、遠く離れたドバイという異国の中で暮らしていますが、私も神様と繋がれば繋がるほど幸運が舞い込んできます。

これまで6つの法則をご紹介してきましたが、どれも強運を手に入れるための法則です。共通点は、「信頼・手放す・委ねる」。必ず天からご褒美がきますから、今日からぜひ実践してみてください!

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です