内なる心の羅針盤に従う生き方

持って生まれた羅針盤を無くした過程

私には小さい時から漠然としたある予感がありました。自分はいつか日本を出て少なくとも2-3年は海外に住むのではないか、というものです。そして目に浮かぶ将来の私は、何だか知らないけれどとにかく大勢の人と話をしているのです。大勢の人と話をするのに日本語だけなら、話す相手の人数が限られてしまいます。そのため、9歳くらいから「よりたくさんの人と話をするためには英語習得が必須」という直感を持つようになりました。私自身の家庭は外国にまったく縁がなく、この思いの起源は生まれた時から私に備わっていたとしか言いようがありません。幼い頃から私は「内側の自分」と「外側の自分」というものを常に意識している、自分の内なる羅針盤を持っている子でした。

大学を卒業後、大企業の総合職ではじめての女性営業職として配置された官公庁相手の営業部で、私は業績も良く、外から見れば事はうまくいっていました。しかし内心では、男性中心の社会の枠に適合しサラリーウーマンとして成功するためかなり無理をしているという自覚がありました。そんな一方で「側から見れば、バリバリのキャリアウーマンとして成功しているように見えるだろう。でもずっとここにいるのは違う。私はいつか海外に住むはずだから」と考えていました。そのため、小さい頃からのビジョンを実現すべく、アメリカの大学院に応募し始め、希望の大学院に入れたので、その仕事を退職し、スーツケース2個と片道切符で渡米しました。修士号が終わるまで2年間はアメリカに留まるものの、その先のことは全く白紙でした。

大学院を修了後、就労ビザを取得し、国際機関や企業での仕事にも恵まれ、無我夢中で働いている時に出会ったアメリカ人と30歳で結婚し、3人の子供を産み育てながら、自営ビジネスコンサルタントとして働きました。理解のあるクライアントに恵まれたこともあり、キャリアと家庭の両立ができ、仕事でもプライベートでも、充実しているかのように外からは見えたと思います。あの当時は渡米して間も無く英語力もいまいちだったのにも関わらず、アメリカ人と肩を並べて日本語を全く使わないキャリアがすぐに軌道に乗り、収入が高かったことが主な理由で、内心でも充実感を得ていました。

若いころの私は、職場で男性に囲まれていたため、女性であることが目立ってキャリアで損をしないように青や黒など地味な服装をし、自ら枠にはまることでサバイバルしていました

若いころの私は、職場で男性に囲まれていたため、女性であることが目立ってキャリアで損をしないように青や黒など地味な服装をし、自ら枠にはまることでサバイバルしていました

40代に入り、私は自然と、自分の人生で本来やるべきこと、自分に満足のできる生き方、さらに天職というものに思いを馳せるようになりました。天職とはそれをしている時にこれだ、これぞ私が人生をかけてやることだと強烈に実感できる職業です。私の天職は何なのだろうか?今やっている仕事は私の天職なんだろうか? そしてその時、私の職業、20年以上のキャリアを積んできた電気通信のビジネスコンサルタントの仕事は、自分の天職では絶対にあり得ない、という確信に行き当たりました。もうずっと前から心が叫んでいたのにやっと耳を傾ける余裕ができた、という感じです。でも、私には自分の人生やキャリアをどう立て直せばいいのかわかりませんでした。 天職が何かもわかりません。自己変革に目覚めたものの、試行錯誤し、もがけばもがくほど本来ありたい姿からどんどんかけ離れていくように感じられ、空虚で落ち着かず、途方に暮れる日々でした。まるで心の羅針盤がまったく壊れてしまったかのようです。その頃から夫との価値観や人生の目的の違いが徐々に明らかになり、私たちの間に距離が生まれ、やがて2019年に離婚することになります。

円満な離婚がきっかけで内なる羅針盤が復活

離婚に至るまでの私は、「良い学校を出て、良い会社で良い仕事をして、結婚して子供を産めば、それが成功の人生だ」と信じ、社会の枠からはみ出ないように、世間的に成功した人生を送るのが私にとって最も重要でした。私が頭の中で描いていた「世間的な成功」には、結婚して子供がいる場合、離婚は失敗だから、何が何でも離婚はするべきではない、という固定概念も入っていました。そんな私に離婚の可能性が目前に迫ったのです。その時、「離婚は本当に失敗なのだろうか?離婚は本当に子供を傷つけるのだろうか?」と疑い始めました。そして離婚経験者、離婚した親を持つ友人、子供である自分のためにあえて離婚しない親を持つ友人など、たくさんの人から経験を聞き、また離婚コーチ、ラブコーチなどの助けで自己変革に励みました。その結果、「子供たちを傷つけないどころか両親が離婚してくれて本当によかったと子供が思う円満な離婚」をすることができました。

「円満な離婚」経験は、私が長年鵜呑みにしてきた既成概念を疑い、私自身の真実探究の体験を通して、その概念を覆す初めての経験となりました。これをきっかけに、それまで盲目的に従ってきた「すべき・あるべき」ルールや、世間でタブーだからという理由で、忌み嫌ったり、避けたり、隠したりしてきた物事に対して、自由な心と頭で正面から向き合い探究・体験することで、自分の真実を見つける生き方を始めました。他人の目や世間的評価に縛られて生きてきた昔の自分に別れを告げ、もって生まれた本来の私、自分の内なる羅針盤に従って生きる私が50歳にて再誕しました。

内面の改革が外面に出る写真例。50代の今の自分の方が20代の時の自分よりも、内面も外面も若々しく、生き生きと光り輝いているといえます

内面の改革が外面に出る写真例。50代の今の自分の方が20代の時の自分よりも、内面も外面も若々しく、生き生きと光り輝いているといえます

盲目的に従ってきた社会の枠や概念を疑うだけでなく、世間でタブーとされているために誤解、無知、隠蔽が横行する事柄の真実を探究する生き方というのは、どんなものなのか、私の生の経験の具体例を2つ紹介します。

(1) 女性は男性より弱いので、男性の保護が必要、という考え:私はシングルマザーになったときに、自分や子供たちの身の安全を守り自由な行動が続けられるよう、護身術と武道(空手、ハプキドー)を習い始めました。その経験でわかったのは、確かに女性の体は小さくて、筋肉の力は男性に比べると劣るけれど、護身に体の大きさや筋力は関係なく、必要なのは直感、状況分析、フィットネス、技術の習得などで、それは性別を問わず備わっているから誰でも習得できるものだということ。女性は男性の保護に頼らずとも堂々と生きていける、ということがわかりました。

棒(箒の柄でOK!)を使った護身術のデモ。護身術を習い続けることで、フィットネスを保てるだけでなく、そのスキルのおかげで私が根本的に自由になりました。日本の電車の中で痴漢にあったことは実は1回くらいしかないのですが(昔から私には近寄り難い、怖い雰囲気があったのでしょう)、もし痴漢などにあったとしても、簡単に始末出来る出るとの自信はかけがえのないものです

棒(箒の柄でOK!)を使った護身術のデモ。護身術を習い続けることで、フィットネスを保てるだけでなく、そのスキルのおかげで私が根本的に自由になりました。日本の電車の中で痴漢にあったことは実は1回くらいしかないのですが(昔から私には近寄り難い、怖い雰囲気があったのでしょう)、もし痴漢などにあったとしても、簡単に始末出来るとの自信はかけがえのないものです

(2)セックスと恋愛:セックスの話は中学校の体育の時間の性教育だけでした。セックスは子供を作るのが目的で、楽しみのためだとか、どうやって楽しむかとかいう話は誰からも教わりませんでした。しかも、日本ではセックスの話題は一般的にタブーなので、なるべくその話題は避けていました。いい恋愛をしたいという希望はあるが、そのために、私はどんな教育やトレーニングを受けたか?と考えると、全く白紙でした。離婚を機に、何を一番学びたい?と考えたとき、Sex, love, relationshipのエキスパートレベルの知識が欲しい!と思い、Sex, love, relationshipのトレーニングを受け、認定コーチの資格を取りました。  

自分自身を満足させる生き方をインスピレーションに

Sex, Love, Relationshipコーチの資格を取ってから、さらに色々な経験やトレーニングを続けており、2022年にはTEDxトークで私の専門であるシャドウワーク(自分の無意識のネガティブな側面=影(シャドウ)を知り、向き合う自己発見・自己変革のツール)について私の探究と体験についてのスピーチを公開しました。現在は非伝統的で、枠にはまらないLove, Sex, Relationshipに特化するコーチングを行いながら、ポッドキャストに出たりしています。

わざと男性的に振る舞い、女性らしさやセクシーさを極力目立たせないようにしてきた、以前の私とは対照的に、今の私は女性としての魅力を隠さずに全面に出し、仕事でもプライベートでも女性特有の特長やパワーを存分に発揮・体現しています

わざと男性的に振る舞い、女性らしさやセクシーさを極力目立たせないようにしてきた、以前の私とは対照的に、今の私は女性としての魅力を隠さずに全面に出し、仕事でもプライベートでも女性特有の特長やパワーを存分に発揮・体現しています

自分の人生の目的や天職が全くわからず、途方に暮れていた4ー5年前の私を振り返ると、こんなに短い間に、私のキャリア、生き方、アイデンティティ・世界観などが180度の変貌を遂げたことに、驚きが尽きません。現在私が仕事やプライベートでやっていることは、当時の私には全く想像もつかなかったものです。現在も私の自己改革と変貌は続いていますが、ありのままの自分を受け入れながら、私のユニークな使命と天職を見つけて、まさしくそれをやっているのだという確信が増すだけでなく、どんどん進化していくのを経験できるのは、エキサイティングかつ充実しています。もし、あなたの心の隅に「こんな大きなビジョンをずっと持っているけど、実現する自信がない」、「本当の私はすごく変わってるから、それを表に出したら拒否されるかも」、「私の人生、これしかないんだろうか?」などと思っている読者の方がいらっしゃったら、私の経験をお伝えすることであなたの心に響き、揺らぐことない自尊心、自分を存分に信じる力、自身を愛する力を持つ勇気が引き起こされるよう、願っています。


    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です