ヨルダン 夏の定番家庭料理 ムジャッダラ(レンズ豆の炊き込みご飯)

トゥファッダリ(アラビア語で、どうぞ召し上がれ!)

トゥファッダリ(アラビア語で、どうぞ召し上がれ!)

夏到来!ヨルダンで一番賑やかな季節が始まりました。海抜800メートルあたりに位置する首都アンマン。乾季である夏は湿度が低いため、カラッとした気候でとても過ごしやすいです。朝夕は涼しい風が心地良く、昔から湾岸諸国に住む人々の避暑地とされてきました。

湾岸諸国からの避暑客のみならず、世界中に散らばるヨルダン人の家族や親戚が帰国し、一堂に会するのもこの時期。我が家も例外ではなく、親族が帰国している間は何かと理由をつけては、ほぼ毎日誰かの家に昼夜を問わず集まり、食卓を共にします。そういった際のおもてなしはもちろん、羊のヨーグルトスープ「マンサフ」、以前こちらでも紹介された「マクルーバ(2018年冬号)」、砂漠の地中で肉や野菜を焼いた「ザルブ」、ブドウの葉っぱや夏野菜に米と肉を詰めて炊いた「マハシ」など、羊や鶏肉をふんだんに使った大皿のヨルダン料理です。どれもとても美味しく、さらにホストの容赦ない盛り付けに、つい食べ過ぎてしまいます。そして連日の肉料理攻撃に胃腸が弱ってきたころ、誰からともなくリクエストが出される料理が今回ご紹介する夏の定番家庭料理「ムジャッダラ」です。

4月から10月にかけての乾季に雨がほとんど降らないヨルダンでは、たくさんの乾燥豆が売られています。フムスで有名なひよこ豆をはじめ、白いんげんやそら豆、そして安くて栄養価の高い優等生レンズ豆。鉄分やビタミンBを多く含み、調理時間も短くて済むレンズ豆はスープやサラダをはじめ色々な料理に使われます。その中でも大人から子供にまで大人気なのがレンズ豆の炊き込みごはん「ムジャッダラ」。エジプトのコシャリに近いですが、材料が豆と米だけなので、手軽に作れます。

ムジャッダラは完全に家庭料理で、来客に出すことはまずありません。面子を重んじるアラブ人は、人をもてなすのに肉が入っていないのは失礼だと考えるからです。しかし身内となると話が違います。「今日我が家は簡単にムジャッダラにするわ」、と伝えると、「サラダを一品持っていくから一緒に食べよう!」と結局親戚みんなで食べることになるのです。

ムジャッダラには複数のサラダと温野菜を添えます。欠かせないのは「ヒャーラ・ビル・ラバン(きゅうりとヨーグルトのサラダ)」。そしてレバント地域のサラダの定番「サラダバラディ」(2018年冬号参照)。さらにサラダだけでは物足りない人に好評の「ファッテ・ベイティンジャン(なすのヨーグルトソース合え)」をご紹介します。

ムジャッダラ(レンズ豆の炊き込みご飯)

ムジャッダラ(レンズ豆の炊き込みご飯)

ムジャッダラ(レンズ豆の炊き込みご飯)

材料:6人分

  • レンズ豆 1カップ
  • バスマティ米(ジャスミン米も可) 2カップ
  • チキンスープストック 5カップ
  • バミセリ(短く加工されているもの。なくても良い)大さじ2
  • クミンパウダー 小さじ2
  • オリーブオイルまたはサラダオイル(米を炒める用) 大さじ1
  • 塩コショウ

トッピング

  • 玉ねぎ 小1個分
  • ニンニク 1かけ
  • オリーブオイル 大さじ1
  • パセリみじん切り (なくても良い)

作り方

  1. レンズ豆を洗い、塩水に浸しておく(15分程度)。米も軽く洗って水を切っておく。
  2. 鍋にスープストックと水切りしたレンズ豆を入れ中火にかける。煮えてきたらクミンパウダーと塩コショウを入れて、豆に少し芯が残るくらいまで茹でる。
  3. 豆を茹でている間、別の鍋(フライパン)にオイルを入れ、バミセリを色づくまで炒める。さらに水切りした米を入れてオイルが全体に絡まるように優しく炒める。
  4. 3の米を2の鍋に入れ、炊く。スープストックが足りなければ水を足す。スープの味を確認し、塩コショウで調整。最初は強火で、沸騰し始めたら火を弱める。
  5. 米を炊いている間にトッピングの準備。薄切りにしたニンニクをオリーブオイルで炒め、オイルに香りをつける。ニンニクを取り出し、薄切りにした玉ねぎを入れてこんがりと色づくまで炒める。
  6. 米が炊けたらお皿に盛り、炒めた玉ねぎ、パセリで飾りつける。

ヒャーラ・ビル・ラバン(きゅうりとヨーグルトのサラダ)

ヒャーラ・ビル・ラバン(きゅうりとヨーグルトのサラダ)

ヒャーラ・ビル・ラバン(きゅうりとヨーグルトのサラダ)

材料

  • きゅうり 2本
  • ヨーグルト 250g
  • ニンニク 1かけ
  • 塩 少々
  • ミントの葉 10枚程度

作り方

  1. きゅうりは小さめのさいの目切り、にんにくはみじん切り(辛いのが好きな人はすりおろしても良い)、ミントの葉も細かく切る。切ったミントの葉を半分トッピング用に取っておく。
  2. 1にヨーグルトを混ぜて、塩で味付け。器に盛り、ミントを飾る。

ファッテ・ベイディンジャン(茄子のヨーグルトソース和え)

ファッテ・ベイディンジャン(茄子のヨーグルトソース和え)

ファッテ・ベイディンジャン(茄子のヨーグルトソース和え)

材料

  • 茄子 大1本
  • スマック(sumac:パレスチナ原産の赤い実を乾燥させ粉末状にした、ゆかりによく似たスパイス) 小さじ1
  • オリーブオイル 大さじ1
  • 塩 小さじ1
  • ピタパン 1枚
  • サラダ油 適量

ヨーグルトソース

  • ヨーグルト 250g
  • タヒニ(胡麻)ペースト 大さじ3
  • レモン汁 大さじ1
  • ニンニク 1かけ(すりおろしまたはみじん切り)
  • 塩 少々

トッピング

  • アーモンド または松の実 ¼カップ 少量の油で炒め揚げしておく
  • パセリ ¼カップ みじん切り
  • オリーブオイル、ザクロペースト、ザクロの実、自家製トマトペースト など適量 お好みで

作り方

  1. 茄子は皮をむき2センチ角くらいに切る。塩とオリーブオイル、小さじ1のスマックを満遍なく絡めてオーブンシートを敷いた鉄板に載せる。220度のオーブンでこんがり色づくまで30分ほど焼く。サラダ油で揚げても良いが、その場合はキッチンペーパーでしっかり油切りをしたあとにスマックをまぶす。
  2. ピタパンを1×2センチくらいの大きさに切る。油で色づくまで揚げ、しっかり油を切ったらスマックをまぶす。
  3. ヨーグルトソースの材料を全てボウルに入れ、よく混ぜる。タヒニペーストが混ざりにくい場合は水を少し入れて滑らかにする。
  4. 器に2を敷き、その上に1を並べる。さらに3のソースを満遍なくかけて、トッピングを載せたら出来上がり。

サラダバラディ

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冬になると米から麺に代わります。雪の日の定番ルカーカ

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普段のおもてなし料理 マハシ

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