ボランティアのススメ
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2019年、バージニア州 アーリントン郡のお祭りでSJAのブースを設置。けん玉など日本文化を紹介
皆さん、ボランティアをされたことがありますか。私は以前、ボランティアには全く関心がなく、むしろ「なぜアメリカ人はたくさんボランティアをするんだろう」と思っていました。でも、3年前、地元バージニア州アーリントン郡の公立高校で外国語としての日本語クラスがカットされるという危機の際、この日本語クラスを救うために何か手伝えればと関わったのをきっかけに、様々なボランティア活動をするようになりました。同じように日本語クラスを維持させたいと思う日本人やアメリカ人たちとNPOを立ち上げたり、無料の日本語クラスや日本文化イベントを開催したり。私たちの活動だけが原因ではありませんが、アーリントンで日本語を履修する高校生は当時の約50人から、今では約150人以上に増えました。
NPOとしてスタートした Study Japanese in Arlington (SJA)は、100 %ボランティア団体で、本当に多くの方々が手伝って下さり、私は目から鱗のような発見がありました。例えば、アメリカでのボランティアは、私にとって様々なことを学ぶインターンシップみたいなものであること。そして地域に貢献することで、アメリカで社会人になった気がすること(それまでは会社のためだけに働く会社人だったような)。また、どんな難問に直面しても、何とかなる、次の展開へのステップだ、と捉えられるようになったことです。そして何より、多くの方々との出会いに感謝しています。
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2018年夏から図書館で無料の日本語及び文化クラスを開催。幅広い年齢層の人たちが集まった
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日本語の勉強の他、遊びも取り入れて日本語で楽しむ時間も
今回、この寄稿に際し、SJAに関わって下さった皆さんにも、ボランティア経験について伺ったので、ここにご紹介させて頂きます。
質問事項ごとに頂いた内容を掲載させて頂きます。
- どんなボランティア活動をされたことがありますか?
- なぜ、そのボランティアをしようと思いましたか?
- ボランティアしてみた感想は?
- ボランティアを他の方にもお勧めしますか?もし、お勧めするならなぜですか?
- 何か追加でボランティアについてコメントがあればお願いします(SJAに限らず)。
アーリントン在住・Miki
- 資金調達、イベントの企画・運営、ソーシャルメディアのマネージメントなど
- 自分の仕事の経験や知識を自分が住んでいるコミュニティ、特に若い世代のために生かすことができるから。
- 仕事以外で人と一緒に何かをするというのは、非常に新鮮でした。一緒にボランティアしてくれた人たちに、一緒にやってくれて楽しかった、つながれて良かったと、感謝の気持ちで一杯です。また、アーリントンのコミュニティの人たちと日本や日本語を介して親交できたのは貴重な経験です。
- お勧めします。仕事以外の人と一緒に何かをするのはいろいろ発見があり、新鮮です。自分のスキルを見直したり、考えたりするきっかけにもなりますよ。
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無料の日本語クラスは子供たちを対象にスタートしたが、大人たちからのリクエストもあり、参加人数も増えていった
ホノルル在住・Fumi
- 日本では在日外国人に日本語と文化を教える、在日米軍基地での通訳。アメリカでは小学校での読み聞かせ、地域の人に日本語と文化を教える、地域清掃活動。
- 転勤族のため、数年おきに新しい土地に引っ越します。それぞれの地域に住む人たちとの交流の機会を持つため、そして自分の得意分野を活かして社会貢献をするため、ジャンルを問わず様々なボランティアの機会を探すようにしています。
- ボランティア活動を通して、自分と同じ志を持った方たちと知り合い、一緒に勉強したり苦楽を共にしたりと、感覚としては時に学生気分を味わうこともありました。そして、自分が参加することで、誰かに喜んでもらえたり、感謝の言葉をかけてもらえるとそれが自己肯定感に繋がり、無償でも地域や人のために活動することにやりがいを感じました。
- 私自身は、ボランティア活動を通してたくさんの素晴らしい方たちと出会い、そして活動を通して多くの学びや喜びを得ることが出来ました。まずはご自身の興味のある分野のボランティアを探してみて、一度は参加されてみることをお勧めします、そこから何かが広がっていくかもしれません。
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日本語を学ぶ人が増えたため、アーリントン・カウンティーの社会人プログラムにも日本語クラスが新設された
アーリントン在住・Yoshimi
- 日本関連イベント「ジャパン・デイ」のボランティア、子供向け日本語クラス、ノンビギナー大人向け日本語クラスのお手伝い、オンライン・折り紙ワークショップ、Baruch college・公共/国際政策学部長の諮問委員会メンバー、学生メンタリング、VIEWSの編集など。
- 最初はアーリントン公立高校の日本語の授業を救う活動に共感、そのきっかけで立ち上がった地元のSJAにお金だけでなく、活動をお手伝いしたいと思ったのがはじまりでした。
- 最初は、フルタイムで超忙しい仕事の合間をぬってだったのですが、子供たちに日本語に触れる機会を与えるお手伝いができて、うれしかったです。また、仕事、子供の学校も地元とは関係ない感じだったのですが、ボランティアを通じて地元のこと、公立学校のことを知ることができ、自分のいる場所で自分のできる範囲でお手伝いするやりがいに気づきました。また、子供に折り紙を教えることで、色々な子供たちとつながることができ、自分の勉強にもなっています。
- ぜひお勧めします。日々の家族と仕事でいっぱいで忙しい生活にも、少しだけでもボランティアをすることで、地元のコミュニティとのつながりが深まり、ひとの役に立っているという実感を直に得ることができます。
- ボランティアでつながる人々の関係も素晴らしいです。何人かの方は、すでに日本に帰っていらっしゃいますが、いまだに交流をして、友好関係が続いています。
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2021年 オンラインJapan Day で折り紙アーティストが桜の花びらの作り方を紹介
メリーランド州在住・Satoko
- 日本ではボーイスカウト、ガールスカウト活動を20数年、渡米後は同じくスカウト活動を継続し、SJA日本語クラスや折り紙クラスのアシスタント参加、日米交流のイベントサポート、職場で行われた食糧支援やスープキッチンの手伝い、桜祭りのイベントボランティア、植樹イベントのボランティアなどを体験してきました。
- スカウト活動の経験からボランティアをすることが当たり前の環境にあったので、時間や体力に無理のない範囲でやりたいと思いました。
- 体験の幅が広がること、様々なジャンルの人と顔見知りになれること、また活動自体を楽しむこともボランティア活動に参加する動機の一つです。
- はい、私にとって、ボランティアをすることは自治三訣<人のお世話にならぬよう、人のお世話をするよう、そして報いを求めぬよう>の心を理解できるからです
アーリントン在住・Junko
- アメリカの学生(小学生〜高校生)に日本語を教えるボランティアをしました。
- 日本とは縁もゆかりもない子が、学校での日本語クラス存続を求めて教育委員会の大人たちに涙ながらに訴えるーその姿をこの目で見て、日本人として何かできることをやらなければ、と思ったからです。また、日本や日本文化に興味をもつ人が多くなれば、日米の友好にもつながると思うからです。
- 皆さん一生懸命に学ぼうとしていて、なおかつとても礼儀正しくて、感激しました。
- 強くお勧めします。ボランティアは、人のためになるだけでなく、結局は自分のためにもなると思うからです。
- ボランティアをよくする人ほどハピネス度が高く、長生きをする傾向にあるという研究結果も出ていますが、本当にその通りだと思います。あまりしたことがないという方も、身近で自分に興味のある分野で、とりあえずやってみることをお勧めします。新しいネットワークもできますし、新しい自分も発見できると思います。
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2021年7月 七夕フェスティバル 2019年以来はじめての対面イベントのボランティアたち
いかがでしょうか。多くの方の経験談が皆さんのボランティアのきっかけになれば幸いです。またSJAのボランティア活動について何かご質問がありましたら、いつでも気軽にご連絡ください。SJAは春頃、イベントを検討しており、ボランティアを大募集中です。東京の世田谷区とアーリントンを姉妹都市にしようという草の根のグループ活動もしています。
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2021年 オンラインJapan Day で 世田谷とアーリントンの姉妹校を紹介。世田谷の招き猫について絵本を書いたアメリカ人著者にもインタビュー
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TV局のワシントン特派員として渡米して約20年。国際結婚を機に退職。子供は大学3年生と1年生の2人。仕事は国務省の語学研修所(FSI)の日本語教師や日本のラジオや新聞のフリーライター。最近、バージニア州の不動産業者の仕事も開始。