ローストダックとソース2種(チェリーソースとビターオレンジソース)
パンデミックで外食が制限されていた間、University ClubというワシントンDCのシティークラブでも全てのレストランが閉鎖された。クラブの収益に影響を及ぼしていたため、メンバーのために様々な工夫が始まり、その一つが料理をオンラインでオーダーし、同クラブのドライブウェイでピックアップできるという企画だった。さらには、料理好きな人のためにメニューの未調理食材セットも買えるようになった。そんな中、突然今年1月にMystery Box Challengeという案内が飛び込んで来た。どこかで聞いたことがある…。Chef’s Tableなど料理人の腕を競う番組にそんなチャレンジがあったことを思い出して好奇心が湧いた。説明を読むとルールはいたってシンプルだ。
- クラブのシェフが選んで取り合わせた材料をピックアップ
- その全ての材料を使用して調理
- 加えていいのは塩、コショウ、オイル、酢など調味料のみ
- 完成写真と調理法を2日以内にクラブに提出
- クラブのインスタグラムに参加者による料理の写真と調理法がアップされ、メンバー投票で優勝者決定
料理の腕のいい友人を誘って二人三脚で参加することにした。あれこれブレインストーミングして最終案にたどり着くまでの過程は、冷蔵庫の残り物で何を作ろうかと頭をひねる楽しみと似ていたが、比較にならないワクワク感があった。盛り付けにはけっこうエネルギーを費やした。何せインスタグラムの写真で判断されるのだから、立体感が出るよう光の当て具合など工夫しながら何方向からも写真を撮り、撮り終わった時にはすっかり料理は冷めてしまっていた。
ダックの焼き具合、2種類のソースはそれぞれ複雑な風味と味で大変満足だった。フェンネルとオレンジのサラダは濃厚なダックと対照的で爽快感があった。
10日後、優勝の知らせが届くと、友人と子どものように喜んだ。パンデミックの規制が緩み、私たちのクリエーションがクラブのメニューに登場し、表彰・披露される日には、試食に出かけた。すると、賞品はワイン一本のはずが、二人に一本ずつ用意されていて、また子どものようにはしゃいで喜んだ。
ミステリーボックスに入っていた材料
- ダックブレスト(鴨の胸肉)
- フェンネル
- オレンジ
- ハラペーニョ
- モレロチェリー
- ビターオレンジジャム
- ガリ生姜
- わさびをコーティングした白ごま
作り方
ローストダック
鴨肉の脂肪に、格子状に切り込みを入れ、塩、コショウ、オリーブオイルを刷り込む。
フライパンを熱し、脂肪を下にして表面に焦げ目ができるまで中弱火で焼き十分に脂肪を流す。火を強火にして脂肪の表面をカリカリにする。裏返して、ダックの身を数分焼きミディアムレアになるまで寝かせる。
ビターオレンジ和風ソース
ビターオレンジジャムに、みじん切りにしたガリ生姜、ハラペーニョ、ガーリックを混ぜ、少量の醤油とハチミツを加えて鍋で煮詰める。少量のバルサミックビネガーで味を整える。最後に、オレンジソースの上にわさびフレーバーのゴマを振りかける。
チェリーソース
シャロットのみじん切りを炒め、モレロチェリーとハチミツを加えて弱火で煮る。コーンスターチでとろみをつけ、最後にバルサミックビネガーで味を整える。
フェンネルとオレンジのサラダ
フェンネルを薄切りにし、レモン、オリーブオイル、塩、胡椒と合わせる。フェンネルとオレンジの身を混ぜ、ピクルスにしたハラペーニョをトッピングし、ローストしたビーツを添える。
ワシントン在住。日米のかけ橋となる仕事、ボランティアに関わっている。趣味は芸術鑑賞。