美食の街サン・セバスティアンとバスクチーズケーキ

バスクチーズケーキ

バスクチーズケーキ

国土が広く各地方の特色が強いスペインでは、日本でスペインオムレツと呼ばれるポテトのオムレツ始めスペイン全土で食されているものも多いが、地方独特の料理もたくさんある。

スペイン北部、フランスとの国境に接するバスク地方は100年以上前から男性のみの会員制美食倶楽部が存在し、厨房で会員たちが料理を作り、食事を楽しんでいることに見られるように美食家が多い地方だ。

特にサン・セバスティアンは世界一の美食の街と言われ、それほど大きくない街にはミュシュランガイドによって3つ星と格付けされたレストランが3つもあり、すべての星の数は16にも上るということで、平方メートルあたり最も星の数の多い街の一つと言われている。

美食の街 サンセバスティアン

美食の街 サンセバスティアン

サン・セバスティアンの旧市街には多くのバルやレストランが連なり、連日にぎわいを見せている。スペインでは、バルのはしごが普通だが、サン・セバスティアンでも同じく、バルのカウンターでピンチョスと呼ばれるおつまみをつまみながら、ワインやビール、バスク地方で人気のリンゴのお酒シードルやバスクワイン、チャコリを楽しむ。そして、また次のバルでつまみとともにお酒を楽しむのがバスク流だ。

ピンチョス、タパス、ラシオン

ピンチョス(おつまみ)とともにワインを楽しめるバル

ピンチョス(おつまみ)とともにワインを楽しめるバル

スペインのバルのメニューでピンチョスの他にタパス、ラシオンという言葉を目にするが、ピンチョスとは主に、手でつまめるフィンガーフードのようなもので、スペイン語のPinchar(刺す)が語源になっていることから 楊枝でとめられているものが多い。そして、タパスは小さなお皿の料理。こちらは、中世の時代にワインとともにスライスしたパンを食していたが、夏の暑いスペイン、蠅がワインの周りを飛び始め、そのパンでグラスに蓋をしたことから、スペイン語のtapa(蓋)がタパスとなり、お酒と一緒に食べるおつまみを指すことになったそうだ。最後のラシオンはもう少し大きなお皿で出される料理で通常何人かでシェアして食べる。

バスクチーズケーキ

数多くあるサン・セバスティアンのバルの中でも日本を始め、世界中で特に有名なのはLa Viñaだろう。料理でも評判が高いが、日本ではバスクチーズケーキと呼ばれる真っ黒いチーズケーキは多くの人を魅了している。アメリカでもNew York TimesはこのケーキをFlavor of the yearに選び、毎年多くのアメリカ人観光客がこのケーキ目当てにサン・セバスティアンを訪れる。

オーナーシェフのリベラさんは2年間いろいろなレシピを研究し、試行錯誤してやっとできたのがこのチーズケーキだと語る。その後の30年間を通して改良しながら今はネットでも紹介されているレシピをお店で提供しているという。お店で出されているケーキは1kgチーズを使った大きいサイズのものであるが、今回は家庭用に小さいサイズのレシピを紹介したい。

小麦粉やフルーツを使用しないチーズのクリーミーさにキャラメル風味が混ぜ合わさった濃厚な味をぜひ試してみてほしい。

Tarta de Queso de La Viña バスクチーズケーキ

Tarta de Queso de La Viña バスクチーズケーキ

Tarta de Queso de La Viña バスクチーズケーキ

材料

18cm型1個分

  • クリームチーズ 430g
  • 卵 3個
  • 砂糖 180g
  • 生クリーム 210ml (乳脂肪分35%以上)
  • 小麦粉 大さじ1弱

作り方

  1. クリームチーズは、生クリームを少量とともにレンジにかけて柔らかくする。
  2. 大きなボールに1を入れ、滑らかになるまで混ぜ合わせる。
  3. 溶き卵、砂糖、生クリーム、小麦粉すべての材料を加えて、ハンドミキサーでよく混ぜ合わせる。
  4. クッキングペーパーを敷いた型に3を流しいれ、220度に温めておいたオーブンで25分ほど焼く(オーブンの下段で上下から温める)。
  5. 焼きあがったら、オーブンを切り、オーブンのドアを半分開けた状態で徐々に冷ましていく。
  6. 粗熱がとれたら、一晩冷蔵庫で冷やしてから食するとよりおいしい。

バスク料理との出会い

すでに故人となってしまった義理の父はバスク人でした。

父は料理は一切しない人でしたが、やはり食には厳しい方でしたので、食卓に並ぶ料理はいつも素材にこだわった質の高いものでした。

そんな家族の一員となった私は食べることが好きなことも手伝って今やお料理の先生をしています。特にお料理の勉強をしたわけではありませんが、主人の仕事がら人を夕食に招くことも多く、お客様たちにおだてられる形でお料理教室もどきを始めたのがすでに10年前になります。時代は変わり今、コロナ禍でオンラインという形で料理教室を始めました。現在本拠地のマドリッドに戻り、日本を始め、昨年まで赴任していた台湾からも参加者が集まってくださって、スペインの食情報をお伝えしています。このバスクチーズケーキのレシピもお教室で皆で作り大好評でした。

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