コロナが深めた家族の絆 我が家の小さなストーリー
はじめまして。アルバート三由珠生と申します。以前、マヤセラピーの記事を書かせて頂きましたが、 今回はわたしの個性的な家族のメンバーたちがコロナ時代をどう乗り越えているかなど、ユニークな家族のストーリーを綴らせて頂きます。
個性的なファミリーのバックグラウンド
私にはイスラエル出身の夫がいます。彼とはアメリカで出会いました。二人とも再婚同士で16歳になる高校2年生の娘がいます。夫には前妻との間に24歳の娘と21歳の息子がいます。
ステップキッズたちとは彼らがとても幼いころからの長い付き合いで、結婚する前は「Mao」、結婚後は本名の「Tamao」、彼らがオトナになったいま、コロナに入る少し前からは「Tama-chan」 と呼んでくれています。成人した二人から、Tama-chan!と呼ばれるのは、少しくすぐったいのですが、英語的発音がかわいくて、なんだかほっこりと嬉しく感じます。
ちなみに我が家の共通語は英語で、その他ヘブライ語と日本語が飛び交います。最近は義理の娘と我が娘は、内緒話は韓国語でやりとりをしています。コロナ禍になってから、二人で勉強しはじめたのです。
ステップキッズたちは、毎週末に実家(母親の家)から30分ほど離れた我が家に来るスケジュールでしたが、二人とも中学生頃になると、お母さんの家と我が家を自由に行ったり来たりしていました。実はわたしの娘も小さい頃から、彼らのお母さんの家に出入りしていてスリープオーバーはもちろんのこと、バケーションにも連れていってもらったりしていました。私たちも、元妻さんとそのパートナーとの間に生まれた息子さんも一緒にバケーションに連れていったりしています。子ども4人連れです! 感謝際やユダヤ人の大切な家族イベントのハヌカ(冬)やパスオーバー(春)なども一緒に過ごします。夫と元妻さんは家族の絆と子どもたちの絆を大切に、離婚というダメージの傷跡を子どもたちの心に残さないよう細心の注意を払いながら協力し合って子育てしていたのです。わたしも自然にその流れに合わせていました。
こういうスタイルの家族のお付き合いは、ユダヤ人民族的なのかアメリカ人的なのか、イスラエル独特のカルチャーなのか、もはやよく分からないのですが、友人に我が家の事情を話すと驚かれます。 アメリカ人からは 「ワオ!仲良くていいわね!」 と言われますが、多くの日本人からは 「目が点、、 何と言って良いか分からないわー」 という微妙な反応が返ってきます。わたしの両親も最初はかなり驚いていましたが、それで丸く収まるのなら良いではないかと、両親が渡米した時には、元妻さんのファミリーと顔合わせをしたりして、年老いた両親にはなかなか刺激的な経験だったようです。
わたしは夫の元妻さんやその親戚一同と同じテーブルを囲み食事し、夫と元妻さんの昔話を子どもたちが興味深く聞き入り、子どもたちが嬉しい気持ちになるのなら、これがベストだと思っています。 偶然にも私と元妻さんのパートナーのバースデーが同じ日なので、一緒にお祝いしたりもします。
そりゃ、ちょっと変だなとは思うのですが、まぁいいやと思い、そこはあまり深くは考えないようにしています。みんなで楽しく集まれればそれで良いのです。
コロナ禍と家族の面々
コロナ禍は世界中に大きな変化をもたらしていますが、「ザ・アメリカーン・ファミリー」 の我が家にも大きな影響をもたらしました。辛いことがなかったわけではありませんが、今ではこの波にも慣れてきていて、どうにか乗りこなしています。この1年間は今までとは違う未知の環境を押し付けられたような感覚で、どうにか居心地が良くなるようにと、この新しい環境に家族全員で協力し合って、全力でアジャストしてきました。感謝際やバースデーなどの家族イベントは全てズームで行いました。みんなで一緒にお祝いできるのはとても嬉しかったのですが、実際に会えないというのは、こんなにも寂しいものなのか、と改めて感じました。
出張が多かったIT系コンサルタントの夫は、自宅勤務となりました。夫が家にいてくれるのはとても嬉しいのですが、それまで夫の不在が多く半母子家庭のようなリズムだったので、食事や洗濯の量などが激増し、新しいリズムに慣れるのに少々時間がかかりました。そして昨年の夏にはシリコンバレーの新進気鋭のスタートアップカンパニーで勤めていた、義理の娘が実家に戻ってきました。西海岸時間での勤務時間となりますが、IT系なので遠距離でも職務に問題はありません。大学生の義理の息子は喘息持ちなので、昨年の大学の春休みからずっと実家で過ごしています。私の娘は、厳しい高校のカリキュラムから解放されて 「これでゆっくりと休める~」 と最初はただ喜んでいました。7歳から習っていたバイオリンや日本語学校、ずっとがんばっていた陸上部を辞めてしまったのは、親として少々残念でしたが、この状況では仕方ないですし、何よりも元気でいてくれるので、それで十分でした。そして長年ハンズオンセラピーと主婦業の両立に奮闘していた私なのですが、ロックダウンのために自宅待機。夢にまで見たマイタイムが降って湧いたのはよかったのですが、この貴重な 「時間」 というギフトを扱いきれずに持て余し、戸惑っていました。
前向きに進んだわたしたち
完全にロックダウンをしてしまった昨年の春先は、皆それぞれ辛いこともありましたが、 夏頃からは、少しずつ新しい環境にも慣れ、義理のキッズたちも積極的に我が家にやってきたり、 賑やかさを取り戻してきました。夫は長年の趣味のクロスフィットのトレーニングを再開しはじめ、みるみると元気を取り戻しました。義理の娘はこの機会にチャンスをつかもうと転職を試みて、見事ニューヨークの会社にステップアップすることができました。コンピュータを勉強している義理の息子は夏休みからオンライン・インターンシップを始め、昨年の秋学期からはパートタイムで大学オンライン授業を受けながら、インターンシップを継続させています。フルタイムで大学に通っていたら、仕事との両立は難しかったと思います。そして昨年の秋に高校2年生となった娘は、自宅で全オンライン授業受講という形で新学年をスタートしました。
娘の高校2年生の英語の授業では、自由課題のプロジェクトがあります。何でも良いけれど、何かを成し遂げそれについて、レポートを書くという課題です。そこで娘は中学生の頃から趣味で作っていた音楽を磨きなおしてアルバムにまとめ、本格デビューを果たすという目標を立てました。彼女は日本語と英語で作詞をし、それにメロディーをつけ伴奏はコンピュータでつくり、コーラスは自分の声で入れるというスタイルで音楽を作っています。最初はどうなることかと思いましたが、2月27日の満月の日に無事デビューを果たすことができました!SpotifyやApple Musicなどで聞くことができます。日本語と英語の歌詞が混じった7曲入りのアルバムです。いまは自作の音楽でも、50ドルくらいで版権がとれるようで、すごい時代になったものだと思いました。そして無事に自由課題のレポートも提出することができ、英語の先生にとても褒められたと喜んでいました。
娘のプロジェクトが終了し、ほっとしたのも束の間、3月には夫の3週間に渡るクロスフィットのワールドオープン大会がはじまりました。毎年春になると開催されるのですが、55歳となる夫は、今年からひとつ上の年代のクラス(55歳から60歳)に出場できると喜んでおり、今年こそは第一次予選を突破できるのではなかろうかと多いに期待していたのです。今回はコロナで出張もなく、トレーニングにも励むことができました。過去5年くらいは連続で出場しているのですが、今年は動画の提出を要求されたため、今回はじめて私もアシスタントとして会場に向かい、夫をサポートする運びとなりました。動画 を撮ったり、距離を計ったり、あとはシンプルに大きな声で 「カモーン!You can do it!!」 などと大声で掛け声をかけたり、得意のスポーツマッサージで筋肉の回復を促進させたりなどです。会場に向かう車の中ではロッキーのテーマなどを入れたプレイリストをガンガンにかけて、盛り上げました!わたしは、この3週間はチアリーダー兼、マネージャー兼、アシスタント兼、栄養士兼、マッサージセラピストとして応援することに決めたのです!ここまでの献身的なサポートは、もしかしたら彼と出会ってから初めてかもしれません(笑) 。
で、結果は?? 夫の大奮闘のかいもあり、おかげさまで世界トップ4%のスコアーで予選を通過することができました。世界で133番。これには家族全員で驚き、祝福のミニパーティーを開きました。 ただいま、夫は5月の第2次予選に向けて、猛特訓中です。
夫は今年で6回目の出場でしたが、実はわたしは今までほとんど夫をサポートしたことがなかったのです。夫からも応援に来て欲しいと頼まれたこともなく、ただ冬に入る少し前から意識してプロティン多めの食事を作るという程度の関わり方だったのです。しかし今回の夫の大奮闘を目の当たりにし、考えが変わりました。100キロ近いバーベルを 「ウォームアップ」 として持ち上げるゴリラ的なそのパワーに、我が夫ながら圧倒されました。普段は温厚なだけに、本当にびっくりしました!そして私は、この大会の雰囲気が忘れられず、夫と一緒に週に1度のトレーニングを始めることにしたのです。実は4、5カ月前から娘も夫と一緒にトレーニングを始めており、今まで出張がちだった夫と娘の距離がグングンと縮まっているのです。義理の娘と息子の二人もトレーニングしています。今まで全く興味がなかったパワー筋トレの世界なのですが、わたしもその仲間の輪に入りたい思い、毎週土曜日の朝は夫と一緒にバーベルを持ち上げたり、2重飛びをしたりして、身体を鍛えています。トレーニングの後にはカフェに寄り、夫とコーヒーデートをするのが楽しみとなっています。
My Family
コロナ禍は脅威ですが、わたしたち家族の絆はさらに固く結ばれたと感じます。すでに独立して西海岸に住んでいた義理の娘と大学生の義理の息子と私の娘の3人が団子のようになって、ソファーに座りゲラゲラと笑いながら何時間も何時間も盛り上がっている姿を見て、彼らの子ども時代の光景がフラッシュバック。思わず嬉し涙が出そうになりました。このフィーリングはホリデーで1日2日会うのとは違います。こんな光景がまた見られるとは想像もつきませんでした。彼らは確実に成長しており、大人になった息子が美味しいカクテルを作り、義理の娘と我が娘がお料理を一緒に作って振舞ってくれたり、楽しい時をたくさん過ごせたことは、宝物のような思い出です。義理の娘と娘は8歳の年の差があり、私の娘は 「才色兼備のカンペキなお姉さん」 を雲の上の手の届かない人として大尊敬しているのですが、このコロナ禍でお姉さんとの距離がグンと縮まり、夜通し話し込んだり 「ヤングアダルトの内緒話」 などもいっぱい聞かせてもらったようで、雲の上のお姉さんからベスティとなりました。彼女が2月にNYに引っ越した後も、毎日のようにテキストメッセージでやりとりをしているようです。そして、二人の共通の趣味がK-Popとなりました。娘がお姉さんをK-Popの世界に招待したら、お姉さんがスッカリ気に入ってしまったのです。二人は韓国語もずいぶんと上手になったようです。
義理の娘は、わたしにまでミーム (meme) を送ってきて、一緒に踊ろう!と誘ってくるほどのハマりようなのです。あの超マジメな真四角だった彼女が、この1年でずいぶんとリラックスしたものです。先日は、 わたしにスキンケアやお化粧の仕方を教えて欲しいと言ってきました。彼女の中の何かが目覚め、 今までにない種類の美しい花が咲き始めたことは、間違いないです!いったいこれからどんな素敵なガーデンになってゆくのでしょうか。とても楽しみです。
義理の息子と娘はアニメという強い強い絆で繋がれています。これに私たち夫婦も完全に巻き込まれました。最近のアニメはよくできていて、オトナが見てもとても面白いのです。今は息子が遊びに来る週末は、家族でアニメや映画の鑑賞会で、みんなでこのイベントを楽しみにしています。息子も私たちを喜ばせてたいようで、好みのものをリサーチしてきてくれます。
終わりに
ここ最近はワクチンもずいぶんと普及してきていて、息子は9月から大学に戻る計画を立てています。我が娘も、I’m ready to go back to school と言いだしています。夫は以前のように出張三昧となるかどうかは分からないのですが、現在出張なしでも仕事が滞りなく進んでいるということは、もしかしたら激減するかもと期待しています。わたしはこの1年、ほとんど仕事もせずに家庭と自分自身の好きな勉強や興味のあることのみに集中することができました。家族ともベッタリとした時を過ごすことができ、とても幸せでした。しかし自分の技術や経験をシェアして社会に貢献したいという気持ちは相変わらず強くありますので、コロナ禍がゆるやかになった際にも、家族と自分の心を満たしながらバランス良く幸せに働ける方法はないかなと、ただいま模索中です。
コロナ禍は、多くを気づかせてくれました。我が家のメンバーたちは、各々の内面とコネクトして、自分の好きや嫌いをより明確にすることができたように感じます。余計なものがそぎ落とされつつあるような、そんな感覚です。内面のディトックスというのでしょうか。子どもたちの将来の夢や希望も変化したようです。私たち夫婦にとってもインパクトは絶大で、今後の働き方や、人とのお付き合いのしかた、人生の後半の生き方について深く考えさせられています。
この安易ではない状況下で、少々複雑な関係である我がファミリーのわたしたちが、お互いに励まし合いサポートしながら、家族の絆を確認し合い、関係を深めることができたのは、何よりのギフトです。
コロナ禍が収まり、もしもかつての自由が手に入るのならば、やりたいことがたくさんあります。会いたい人もたくさんいるし、行きたいところもたくさんあります。当たり前だったことがそうでなくなったという事を経験したいま、貴重な時間を無駄にしたくないと感じています。もう後回しにするのはやめます!いまのこの気持ちを大切にしながら、それらを実現できる日を心待ちにしています。まずは家族で日本とイスラエルに旅行に行きたいなぁと、夢見ています。
留学のため渡米。大学を卒業後に旅行会社や日本銀行に勤めた後、2003年にマッサージセラピストとなる。家族はイスラエル出身の夫、成人した義理娘と義理息子、高校生の娘の5人と愛猫のピーチィ。「気」やエネルギーに興味があり、人を元気にすることに大きな喜びを感じる。ヨガや気功のインストラクター、レイキマスター、合気道は3段で、ゆる合気道女子クラブの主催などを通して、コミュニティの元気アップ↑を目的に活動をしている。