ワシントンで仕事と育児の両立

双子の息子たちが2歳のころ、ナショナルハーバーにて

双子の息子たちが2歳のころ、ナショナルハーバーにて

夫の転勤に伴いワシントンDC近郊に移り住み、気付けば来年で10年になります。こちらに来てまもなく働き始めた日系企業に今も籍を置いており、この間に子供が生まれ、働く母になりました。

アメリカの産休制度

職場にも慣れアメリカでの生活も落ち着いてきた頃、妊娠が分かりました。初めてのエコーで双子と判明。ひどい悪阻(つわり)がすぐに始まったため早い段階で職場へ報告したところ、初の産休事例になるとのこと。まずは産休制度を整えることになり、日米両方の状況を調べてみました。そして分かったのは、アメリカは産休制度においては後進国だということ。各州で多少ばらつきがあるものの、連邦レベルではFamily and Medical Leave Act (FMLA) という制度があるのみ。FMLAとは従業員が出産前後、または養子を迎えてから12週間(多胎は16週間)休暇を取得する権利を認める、つまり妊娠・出産を理由に解雇してはならないという最低限の内容で、加えてFMLAには従業員50人以上の組織であるなどの適用条件があり、適用外の人が全体の4割。日本は制度が整っていても運用面で色々と問題があるようですが、アメリカは制度自体が他国と比較しても最低ラインでした。

日系の職場なので少しは日本の制度に近づけてもらえるかも、という淡い期待は叶わず、結局このFMLAの内容をそのまま導入することとなりました。つまり私の場合は産前・産後合わせて16週間の無給休暇。産後に休みを残すためぎりぎりまで働く人が多い中、妊娠6か月頃にはお腹が単胎妊娠の臨月ほどの大きさになり、通勤が困難になった私は予定日の5週間前に産休に入りました。

デイケア探し

早産リスクの高い双子妊娠で目標にしていた37週目を迎えた翌日、無事出産しました。日本では産後1週間ほど入院できるようですが、運よく普通分娩できたこともあり、こちらで一般的な2日後には退院させられ、新生児と格闘する日々が始まりました。授乳とおむつ替え×二人分の無限ループ。「子供は毎分毎秒育っている」という先輩ママの言葉を胸に、毎日必死で世話すること2か月半、産休の終わりが見えてきました。

焦って子供の預け先を探し始め、何件か見学に行って話を聞くと、かかる費用は平均月に一人1,300ドル程でした。職場のあるDCに比べると多少安いとはいえ、郊外の我が家周辺でもこの金額、ましてや二人分。本当に働く意味があるのか悩み、周囲に話を聞くと、子供と過ごすためにきっぱり仕事を辞める人、無料の公立キンダーに入れる歳になるまで育児に専念する人、キャリアのため赤字覚悟でデイケアに入れ復職する人など様々でしたが、「会社から提供される健康保険を維持するため」に仕事を続ける人がいるのが日本と大きく違う点でした。スーパーへ行くことすらままならない自分が出勤する姿が想像もできず、働きながら育児する覚悟なんて微塵もありませんでしたが、夫と話し合い、辞めようと思えばいつでも辞められる、そして職場初の産休取得実績を作るためにもと、デイケアを決め復職することにしました。

働きながら育児

産後育児に追われ気持ちに余裕がなく、ようやく子供を可愛いと思えるようになったばかりだったので、復帰前夜はやっぱり辞める!と思ったりもしましたが、当日は朝泣きながら子供を預け、ほぼ徹夜状態で出勤しました。懐かしく感じるオフィスで業務を思い出しつつ作業すること半日。あれ?行きたい時にトイレに行ける。座ってお茶が飲める。大人の会話ができる。お昼にしようか?と声をかけられた時、朝から少しずつ湧いていた気持ちが形になりました。育児より仕事の方が楽!!誤解を恐れずに言うならば、家で乳児の世話をするよりも、デスクに座って仕事をする方がよっぽど楽でした。3時間おきに会議室を締めきって搾乳している時には子供たちの顔が思い出され、人に預けている罪悪感、離れている寂しさが頭をもたげるのですが、デスクに戻って仕事を始めると、産後無縁だった自分の時間が持てている。同僚たちと温かいランチを食べながら、やっていけるかも知れないと初めて思えました。子供たちを迎えに行き元気な姿を見てほっとした後は、昨日までと同じ過酷な育児がまた始まるのですが、それでも昼間自分の時間を持てたことで少し気持ちに余裕ができ、また離れていたことでより子供たちを愛おしく思いました。

あれからもうすぐ5年。この原稿を書くにあたり調べていたところ、2016年にDCでは新たな産休制度の導入が可決され、8週間の「有給」休暇が取得できるようになると記事で読みました。これから子供を持つ方には、仕事を続ける大きな後押しになるかと思います。子供が病気になる度に有休日数とにらめっこしたり、やっぱり寂しく思ったり悩みはつきませんが、子供たちは来年ついに公立キンダーに入ります。



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