編集後記

この間、『The Second Coming of KKK: The Ku Klux Klan of the 1920s and the American Political Tradition』という本を読む機会がありました。

そもそも南北戦争終結後、南軍の退役軍人たちが交遊会として設立した KKKは、その一時衰退しますが、第一次大戦参戦をきっかけとして、黒人だけでなく、敵国からの移民から、「真の」アメリカ人、つまり白人プロテスタントを守る「愛国者」の組織「第二の KKK」として復活します。ユダヤ系、イスラム系、カトリック教徒、共産主義者を敵視し、南部だけでなく、ニュージャージーからオレゴンにも広がり、400万から600万の会員を持つ勢力となりました。政治的にも20世紀前半には主流となり、州議会に数千人、そして連邦議会にも数百人の議員を送り込み、1924年移民法(いわゆる排日移民法)を成立させました。ウィルソン、ハーディング、クーリッジ、フーバーなど当時の大統領(1913-33年)は KKK を批判せず、ハリー・トルーマン大統領(1945-53年)は票を目当てに KKK に加入しました。

デマと暴言を吐くリーダーにより、潜在的 KKK 的精神が表面化しても許容され、マイノリティーと都市部エリートに対する反感、人種差別、移民に自己利益が奪われるという恐怖感など、1920年代に KKK が台頭した時期と現在があまりにも似ていることに驚愕し、恐怖を覚えました。

日本に住んでいるとあまり「移民」について考える機会がないかも知れませんが、海外で一時的、あるいは恒久的に「移民」として暮らす人たちにとっては欧米で起きていることは他人事ではありません。特集記事をご高覧いただければ幸いです。

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