「心の声についていく:自分らしく生きるための30のヒント」

「人生には何が起こるかわかりません」という言葉で始まるこの本。まさか私が本を出すなんて、そしてそれをここで紹介することになるなんて、本当に何が起こるかわかりません、という気持ちになっています。はい、この「心の声についていく」は私、オカジマキクコが2022年10月に徳間書店から出版した本です。本の紹介とともに、本を作るまでの裏話などもご紹介したいと思います。

著者(私ですが)について

私のことをご存じない方のためにお伝えしますと、私はメリーランド州ボルチモアに1991年から在住。2020年から2年間、初代チェア(代表理事)として、WEリーグという日本で初めての女子プロサッカーリーグの経営に関わりました。なぜアメリカに住んでいる私がそんなポジションについたのかというと、女子サッカー選手の経験とビジネスの経験を併せ持つ人が日本では見つからなかったから。私は1970年代、日本でサッカーをする女子がほとんどいなかった頃に中学の男子チームでプレーを始め、ごく初期の日本代表チーム(今のなでしこジャパンです)にも選ばれました。仕事は38年間金融機関で、2019年に引退するまでは、メリルリンチでウェルスマネジメントアドバイザーとして、ファイナンシャルプランニングや資産運用の設計をしていました。

WEリーグ在任中、メディアの取材を受けて発言をしたものを見てくださった編集者の方が、本を書かないかとお声をかけてくださったのがきっかけでした。その編集者は、元サッカー選手澤穂希さんの本や、最近ではプロゴルファー松山英樹さんの本を出版していて、スポーツ界のアスリートが一般の方に語るストーリーを得意としている方です。

30のヒント

この本の読者として仮定したのは、30代から40代の働く女性。その層の女性たちに、自分の好きなものに出会ったらそれを大切にして、損得よりも自分の感情に素直になること。そのうえで仕事を続けてゆくヒントを書いています。仕事をしながら充実した日常を送るための習慣、ストレスをためない環境づくり、助けてくれる人を見つけることの大切さなど、後輩の女性に対して仕事と家庭の両立に役に立つことを語りかけるような気持ちで書いていきました。

例えば、落ち込んだ時に、自分の気持ちを上げる方法をいくつか持っていると立ち直りが早くなるので、私が実践している「リテールセラピー」と「ペットを抱く」について書きました。アメリカにお住まいの方は聞いたことがあると思いますが、リテールセラピーとは買い物をして気分転換をすることを、セラピーといって言い訳する言葉です。

また真剣勝負をする経験を積むことで、本番に強いメンタルが作られることについても書きました。スポーツの試合で全力を尽くして勝負する経験は、試験や面接などの大切な場面であがらなくなることにつながります。またチームスポーツの経験は組織に入った時に役立ちますし、負けた経験は、分析、反省を通じて次につながる糧になります。女の子にはぜひスポーツを経験してほしいので、お母さんに対して、スポーツのメリットは身体的なことだけではないと伝えたつもりです。

失敗談の必要性

編集者の方に言われたのは、まず失敗談を早い段階で紹介すること。日本橋の生まれで早稲田大学出身、アメリカに住んで結婚し、金融機関勤務。客観的にみるとエリートである、と。そういう著者を一般読者に身近に感じてもらうには、「こういう人でも失敗した経験があるのね」と思ってもらうことが必要だそうです。そこで、アメリカ留学した際のボーイフレンドが日本に追いかけてきたので自宅に泊まってもらったところ、関係がばれて祖父に家を出ていけと言われた話。当時家庭教師をしていた高校生の家に転がり込んだという自分の黒歴史を公表しました。

お金の話

日本の女性にぜひ伝えたかったのが、働いて自分の資産を持ち、運用することの大切さです。お金持ちの王子様と結婚したと思っていても、旦那さまが失職したり鬱になったり、DV男になってしまう可能性はあります。その時に自分の資産と仕事があれば、離婚や別居などの選択肢が生まれます。運用の前にまずは貯蓄。はじめに貯金額を別にしておき、残りのお金で生活する癖をつけるのが貯蓄には大切です。そして、お金に働いてもらう仕組みを作ること。株式の配当収入、債券の金利収入、またキャピタルゲインなど、銀行預金では得られないお金が増える仕組みを作るには、株式投資が必要となります。

ただ株式投資にはリスクがつきもの。そのリスクを軽減するには長期、分散、積み立てという原則を守ることです。引退して退職金で初めて株式投資をするのではなく、20代から(長期)いろいろな業種の会社の株が入っているインデックスファンドで(分散)、毎月コツコツと(積み立て)ファンドを購入してゆくことで、リスクを減らしながら資産形成ができます。お金のため方、増やし方の本とは思わずに読んでくださる方に、この部分がきっかけとなって「つみたてNISA」を始めてくれるといいなと考えながら書いていきました。

WEリーグのこと

本の中の5分の1ぐらいがサッカーについてですが、WEリーグの誕生とその意義は伝えたかったことの一つです。WEはWomen Empowermentの略で、日本の女性活躍社会を牽引するという設立意義を掲げています。日本ではサッカーはまだ男子のスポーツであり、女子選手はジェンダーの問題に自然と向き合うことになるので、女子のEmpowermentをリーグの名前に入れました。グラウンドがJリーグの男子が稼いだお金で作られたため、クラブハウスを女子は使わせてもらえないという差別が存在しているのですが、今までは女子選手はそれを当たり前と思っていました。そこで、こういうことがジェンダーの問題であるという意識を持ってもらうように研修をしました。また、ジェンダー平等を進めていくのは自分たちのためだけでなく、プロサッカー選手が女の子の夢の職業になるために、次世代の女の子のことを考えてのことだということも伝えました。

Amazonのレビューから

最後に、Amazonで書いたいただいた読者コメントから2つをご紹介します。

  • サッカーを続けたくて土日休みの外資系に就職? 日本で生まれ東南アジアで働きアメリカに住む?やりたい!と思ったことを追求していく女性にとってのロールモデルとなる本です。
  • 一気に読める分かりやすさで、要点はハイライトされています。
    サッカーファンだけでなく、これからの人生を有意義に生きたい若い人にも、よいアドバイスが満載です。

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