自由キモノのススメ

「グレイヘアの会」の集まり(左)。シーラさんは右から3人目。皆さん、ゆったりと着こなしてます。ピアスや足元、襟元、コーディネーションの色に注目。一番左の方の帯締めは普通の洋装用ベルト。日本の古典柄の一つである格子を赤い帯とピアス、足袋ソックスでポップに着こなしたシーラさん(右)

「グレイヘアの会」の集まり(左)。シーラさんは右から3人目。皆さん、ゆったりと着こなしてます。ピアスや足元、襟元、コーディネーションの色に注目。一番左の方の帯締めは普通の洋装用ベルト。日本の古典柄の一つである格子を赤い帯とピアス、足袋ソックスでポップに着こなしたシーラさん(右)

日本の着物事情は高スピードで変わっています。ひとことで言うと、自由。洋服感覚でコーディネートした人たちが、楽しそうに着ています。女性だけでなく、男性の自由着物愛好家も増えており、ネットのビンテージ着物市場は、活況を呈しています。

現在、爆発的人気なのが着物研究家のシーラ・クリフ教授。洋服はほとんどお持ちでなく、毎日着物です。ぜひ、彼女の インスタグラム(Kimonosheila)をご覧ください!故樹木希林さんの着物姿も素敵です。検索すれば写真が出てきます。まず色や柄のセンスに感動しますが、寒い冬はタートルを下に着たり、ブーツを履いたり、イアリングや帽子をコーデしたり、自由に着てらっしゃる。サイズ違いもなんのその。確かに眉を潜める保守的な方はいます。(自由着物愛好家の間では、「着物警察」と呼んでいるようです。)けれども、大正時代のハイカラ女性は、思い切って袴にブーツを履いたではないですか。和装の幅が、時代に沿って広がり、生き続けるのは嬉しいこと。伝統の否定ではありません。

地味な羽織りと着物が、明るい色の帯、襟、ピアス、ベルトのバックルの帯留めで個性的に!自作らしい襟は、多めに見せています(写真提供: Sheila Cliffさん)

地味な羽織りと着物が、明るい色の帯、襟、ピアス、ベルトのバックルの帯留めで個性的に!自作らしい襟は、多めに見せています(写真提供: Sheila Cliffさん)

若い人も外国人も魅了する着物の良いところって何でしょう?

  1. 昔から決まっているパーツ(着物、帯、帯締め、帯揚げ)の組み合わせで、無限の変化が楽しめる
  2. 襟の空き具合、帯の位置、締め方で、可愛らしさ・色気・貫禄など色々な雰囲気が作れる
  3. サイズに融通が効くので、人から譲り受けたものでも着られる
  4. 流行があまり無いので、自分の個性が発揮できる
  5. 年齢を重ねても、若い子に真似できないカッコよさが表現できる

様々な着物の着付け学校ができ、隙なくピシっと着ることが求められるかのようになったのは、いつ頃でしょうか。私たちの祖母の時代は毎日着ていたし、古い婚礼写真をみても、着付けのラフさに驚きます。でも、自然。それでいい。樹木希林さんもシーラさんも、体の補正なんかしないで、昔の女性のように、自然に着ています。帯板なんか無し。結構シワシワな所がある。ビンテージの着物だから、丈が短い。それでも体に馴染んで「私は私。どうだ!」という姿勢が、かっこいい。「私は肩が張ってるから、着物は似合わないの」という友人がいます。いえいえいえ。なよっとした女風を目指さず、襟を立ててちょっと男っぽく、カッコよく着ればいい。縦縞の着物なんかどうですか?

全身を渋い色でまとめた装い。ブーツでぐっと締めています。若いコにはマネのできない貫禄(塩田京子さん、Facebook着物グループ投稿より)

全身を渋い色でまとめた装い。ブーツでぐっと締めています。若いコにはマネのできない貫禄(塩田京子さん、Facebook着物グループ投稿より)

着物歴40年の私。親戚中から集まった着物に飽き足らず、20年ほど前から、ヤフオクで着物や帯を物色してきました。「え?ネットで買うって、怖くない?」とよく聞かれます。いーえ。日本のマジメな業者さんたちは、評判が下がることを気にして、目を皿のようにして「難」を探してくれます。薄いシミでもズームアップして写真を掲載してくれる。許せる範囲のものを落札し、クリーニングに出してから着ることもあれば、直接肌に触れる下着じゃないし、とそのまま着ることもあります。エコ思想の浸透から、人々の中古に対する抵抗感が下がり、リサイクル業者が増え、タンスに眠っていた着物がどんどん市場に登場。最近は、アンティーク着物のファンが増えて、入札数が上がりましたが、1万円程度で、状態の良い素敵な着物・帯が買えます。

塩田京子さん(左)、岡田記子さん(右)Facebook着物グループ投稿より

塩田京子さん(左)、岡田記子さん(右)Facebook着物グループ投稿より

中にキャミソールを着て留袖をドレスとして着るのもありです(写真、Facebook着物グループ投稿より)。内側の襟を外に折り出して、長い着物をウエストまでたくし上げて縛り、太いベルトを締めているだけだそう。留袖は黒でかっこいいのですが、着物としては格式が高すぎるために求める人が少なく、アンティーク市場では上質のものが安く出ています

海外では、ジャケットとして羽織を着ている姿を見かけるようになりました。羽織は、昭和の後期から流行らなくなったので、中古に出回っているのは昭和中期までのものですが、とても素敵な柄が多いです。浴衣も簡単です。気軽に和装デビューし、慣れたら正統派着物や帯にも挑戦してください!着物の醍醐味は、パーツの組み合わせです。今はYouTubeで着付けも解説されています。

季節感と場の雰囲気をコーディネーションに取り入れる

最初の一枚は、着る季節が限定されたものを選ぶのもテです。その季節が近づくと、着たくなるような一枚。桜の柄とか、涼しげな水紋とか、もみじ柄とかいかが?趣味を絵柄にしたものも素敵です。音楽が好きな方は、コンサートにぴったりな音符とか楽器の柄のものを選ぶ。猫ブームで、猫柄の帯はネットでも大人気です。

浴衣姿のシーラさん。夏らしく、襟は少し大きめに開けて涼しげに。大きなツバの帽子もよく似合う(写真提供: Sheila Cliffさん)

浴衣姿のシーラさん。夏らしく、襟は少し大きめに開けて涼しげに。大きなツバの帽子もよく似合う(写真提供: Sheila Cliffさん)

椿、桜、花火、トンボ、紅葉、雪。日本人は、古来、生活のあちこちに季節の移ろいを感じながら生きてきました。着物は、夏は周りの人が涼しさを感じるように、冬は暖かく感じるように、柄や配色を工夫する。おめでたい場は、ゴールドやシルバーの入ったもので、襟はきちんと。季節まで考えるコーディネーションって、やっぱり日本のキモノ、素敵だと思いませんか?


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